廊下の片隅、A地区の団員の若い男性二人組が何かを話していた。
「おい聞いたか?」
コソコソとした口調で一人が話しかける。
「何をだ?」
「今日A地区に来た新しい奴のことだよ」
片方がもう片方の肩を叩きながら言う。
「あぁ...何だっけ、有馬...」
「そう彼奴!彼奴さ男のくせして華奢で小柄らで可愛いらしいんだよ!」
片方が惚けた顔をしつつもう片方に伝える。
するともう片方は少し首を捻りつつ
「まぁこの地区は女が居ねぇからなぁ...」
「C地区には長以外は女しか居ねぇって噂だぜ」
「彼奴もなかなか可愛いんだろ?ならそれで我慢しろよ、な?」
すると片方は頭を掻きながら悩んだ風に答える。
「彼奴片目、左目前髪で隠れてんだよなぁ...」
「へぇ、何でだろうな」
「知らねぇよ、あーぁ両目見えてたらもっと魅力的なんだろうなぁ...」
片方がニヤけていると冷ややかな目線を向けられていることに気付き二人は急いで自分の持ち場へと戻った。