ない頭絞って適当に考えました
8月最中の午前11時、賑わう町中に二人の男女が肩を並べて歩いている。男の方はジーンズに白いTシャツという、如何にもプライベートととれる服装だが、全く対照的に、女は喪服のような漆黒のスーツを身に付けていた。眼鏡を掛けている点も含めて随分と仕事が出来る人に見える。
それは兎も角、男___宇都宮数春は、顎に手を当てがい思案に耽っていた。ふと女が呟く。
「で、結局次はどこ行くの」
その雰囲気に似つかわしくない実にフラットな声で嘯く。対する数春は、「まぁ、落ち着けよ朱音」と、恐らく相手の名前を呼んで、あくまでも余裕な態度で宥めた。どうやらこれが彼女の腹が立っている状態らしい。ただ、数春との身長差や声色を含めて全く迫力はないのだが。
「そうだな....じゃあ、聖王でもいくか」
思案ポーズを解けば即座にそんなことを提案するが、女___朱音と呼ばれた_は首を傾げると「何..え、せいわん....?」と、理解できないを表す仕草をして見せる。数春は説明が下手なのか別の理由か、苦い顔をすると渋々と口を開く。しかし、それを遮るように男の声が割り込んでくる。
「聖王ってのは、葉月京助カリスマ社長が手掛けた学園都市のことッスよ。まぁ、呼び方は人それぞれだけど学園だけを指してそう呼ぶ人もいるみたいッスね。俺と雛はそこの卒業生ッス。」
淡々と一方的に語られる聖王についてのこと。朱音は突然の出来事に驚き、数春は顔をしかめた。視線の先にいるのは、数春たちと同じく身長差の目立つ男女二人だ。流石に服装までは同じと行かないが、背後から見ればほぼ自分たちと同じ身長かもしれない。否、心なしか数春の方が高い。
そんな男女のうち男は自分が注目されていることに気付くと二人と顔を見合せ、「おおおおおーーー!!」と謎の興奮を上げる。
まさかヤバイ人なのかと朱音がたじろぎ、喧しそうに方耳を防ぎつつ数春は近づいた。
「うるせぇよ翔」
「お久しぶりッスねぇ、数春さん」