【寒空はキミのウソを笑ってた】

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3:空ラビ◆mU:2015/10/03(土) 18:37 ID:xlg

No,1 『時が止まったようで』

「みぃ、こんな短時間でよく迷子にな れたね?」
今日は進級でクラス替えの日。中学3年生になったから、すっごく大人になって身長も伸びた気分!だったんだけど…
「えへへ、ごめんね、空ちゃん。着いていってたはずだったんだけど…」
私の幼馴染みで頼れる親友の、
北条 空音 (ほうじょう そらね)ちゃんは、絶賛私に飽きれ中です…
「来年は高校生なのよ?いつまで小学生気分なの?いや、みぃは一応中学生だったっけ…、それならもっとダメじゃないの!」
少し呆れ顔で、怒りながら言う空ちゃん。確かに、身長も頭脳だって小学生なんだけれどね…
「今度は迷子にならないから…ね?
 そ、そうだ!教室行かないと先生に
怒られちゃうな〜?」
話をそらそうと必死に訴える。私が悪いんだけどね?…空ちゃんと仲良くお話したいし…
「…もう。目が泳ぎすぎだって。仕方ないなぁ。じゃあ、教室行こっか。3-5って、春人の隣のクラスじゃないの。」
少し呆れて、そして笑顔になって、名簿を見ながらいう雪ちゃん。め…女神に見えるぅ…。
春人とは、進藤 春人(しんどう はると)のこと。
私は春君ってよんでるの。雪ちゃんと、春君。2人は大切な幼馴染みなんだ。
「そうなんだ〜!これからも、いっぱい3人でお話出来るね!幼馴染み3人で!」
そう、笑顔で私は言った。だって嬉しいんだから!大好きな2人と一緒にいられるんだもん。
「…そうね。3人で、話、せるわね。幼馴染み3人で。嬉しいよね。」
……雪ちゃん、少し顔が雲って見えたのは何で?“3人“の単語を言う度に、苦しそうに笑うのはどうしてなの?
「うん…、そうだね。席に着こっか…
また、後でね!」
その理由が聞けないのは…何故か、酷い頭痛がしてきたから。どうしたのかなぁ…。
頭をおさえながら、席につく。雪ちゃんもそんな私に気づいたようで、
“だいじょうぶ?”と口パクで心配そうにいった。
”だいじょうぶだよ”そう口パクで私もいった時、丁度先生が扉から入ってきた。
去年と同じ先生で、なんだか新鮮ではないけれど、落ち着くなぁ…
まだ、頭を押さえながらだけど、HRをちゃんと聞く事が出来た。
先生の話が終わって30秒後、少し痛みの収まった頭に、もっと酷い痛みが襲うことになる。
「と、いうことで。やっぱり、ずっと同じメンバーじゃつまらないだろ?だからってわけでもないけど…いいぞー!結城、入ってこーい!」
ガラッ…
そして入って来た男子は、すごくカッコイイ人だった。でも、それ以上に頭痛が激しくなっていく…
「…はじめまして。結城 陸夜です。 色々あって、この場所を離れていましたが、今回戻ってくることになりました。そのときの知り合いはもういないだろうけ…ど…」
そう結城君が言った瞬間目が合った。

なんでかな…、目がそらせないのは。
時が止まったように、私達の間にゆっくりと時間が流れる。
「結城、どうした?緊張で固まったかー?」
そんな茶化すような先生の声で、教室中が爆笑の渦に包まれる。その声で、結城君も我に戻って、
「え、あ。よろしくおねがいします」
少し挙動不審になりながら、挨拶を済ませていた。
この時の私は、頭痛と早くなる鼓動の意味を探していて、知らなかったんだ。
雪ちゃんが、悲しい表情を浮かべて
「陸夜…、なんで帰ってきたの?もうこれ以上、みぃを傷つけないでよ…?」
そう、呟いていたことを。


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