天体観測。

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2:酸素◆O2:2015/10/03(土) 17:07 ID:kE.


春はどこか憂鬱だ。

私は高校の部活動掲示板の前でそう思いながら
部活動勧誘のチラシを眺めていた。

外に設置されているからか春風でチラシがめくれていて、
中には風で飛んだ部活動のチラシも地面にあった。

部活動が多すぎるのか、もしくは掲示板が小さいのか、
それとも用紙が大き過ぎるのか分からないくらいに
部活動掲示板は部活動勧誘のチラシで埋まっていた。

ぼんやりと眺めていると一つの部活動のチラシが目に止まった。
特に目立つという訳でもなく、他の部活と違う点は
剥がれかけているぐらいだ。

ただ紙に大きく丁寧に書いてあるその文字に目を引いた。
「『天文学部。新入部員大歓迎』
……いかにも人がいなさそう」
そう吐き捨て、私は校舎へ踵を返そうとした。
星になんて全く興味もないし湧く気もない。
すると後ろからやけに暗い声が聞こえた。

「……だってそれ、僕しかいないしね。部員」

ゆっくり私が振り向くと、後ろにいた彼は指を掲示板に向ける。
「これは、どうも……」
私がそういうと彼はどうも、とだけ返し
剥がれかけのチラシを貼り直していた。

鬱陶しそうな長い前髪に黒縁の眼鏡、
色白の肌に長い睫毛と高い鼻。
きっと彼は“勿体ない人”だ。
そう思うだけで私は口にせず、掲示板をあとにした。


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