魔法と悪魔が存在するこの世界。
悪魔は人を殺したり、人を食したりしていた。
人々は悪魔を怖がり、逃げていた。
そんな中、悪魔に立ち向かう者が…
その名は…ミッション部。
ここは魔法学園。多くの子供達が魔法を学ぶ場所だ。この学園では、
子供達が仕事をする。仕事といっても、飼い犬探しや、荷物の運搬
と言った市民から寄せられた仕事である。また、実力がある者は、
悪魔退治をする。この学園のおかげで人々は安心している。
だが、二年前に比べると悪魔の減りかたは、あまり良くなかった。
ミッション部がいなくなったあの日から…
「どうしてこうなるんだ…。」
第三図書館の前でライト・ロングラはため息をついた。
時は数時間前の出来事である。16になるこの少年は校長が大事にしていた、
花瓶を割ったのである。そんことを知った生徒会長の兄、ジン・ロングラ
が激怒し、罰としてこのだだっ広い図書館を掃除することになったのである。
「校長が校長室の模様替えするとか言ったから手伝ったのに…。」
ライトは愚痴を言いながら掃除に取り掛かった。
すると、
「うっうわぁー!!」
男子生徒の叫び声が聞こえた。
「なんだ?隣の部屋からだよな…?」
ライトは、手に持っていた雑巾を放り投げ、隣の部屋に向かった。
歩いて向かっていたライトだが、次第に隣の部屋から叫び声や、銃声が聞こえたので、
急いで向かった。
「どうした!?」
ライトはドアを開け中の様子を見た。
「…!」
酷かった。床は赤黒く染まり、何かの塊が落ちている。一つはネクタイが付いていた。
うちの制服の物だ。もう一つは…ライトは目を逸らした。そちらの方が酷かったのである。
奥に目をやると、男子生徒が震えながら固まっていた。
そしてライトは部屋の真ん中にいる人物に目をやった。
…息を飲んだ。美しかったのである。雪のように白い肌、短く切ってある艶のある黒髪、
そして黄色くキラキラした大きな目…この世にこんな人が存在するのだとライトは初めて
知った。…が、その人が立っている場所は赤黒い部屋のど真ん中である。ライトはまさか…
と思いその人に声をかけた。
「あっあの…もしかしてあなたがこれを…?」
その人はライトを見ながら困ったように笑った
「いいえ。全部はやっていませんよ。ここにいる男子生徒が悪魔を呼んでしまったようで…
悪魔は倒したのですが…彼は救えませんでした。」
悲しげな目をしていたが、話し終わると美しい笑顔で微笑みかけてくれた。
ライトはその笑顔を見て顔を真っ赤にしたが、あることにきずいた
この人どっから学園内に入ったのだろうか。この学園は警備が物凄くかたい。簡単に入れないし
入ったら侵入者として追いかけ回されているはずだ。生徒だったら、顔の広いライトが知らない
わけない。来客かなんかだろうか。解らないライトはとにかく名前を聞いてみた。
「失礼ですけど…お名前は…」
「あっすいません。言っていませんでしたよね…僕はミッション部リーダーリュウマ・オルヴァ
です。」
「ああ。リュウマ・オルヴァ……ってえぇぇぇぇぇ!!!!」
ライトの前にいたのは憧れのミッション部である。
(ん…?でも確かミッション部リーダーは男だったよな)
ライトは真実を知るため恐る恐る聞いた。
「あの…性別は…」
その人はまた困ったように笑い言った。
「男です。」
これが先輩と初めて会った瞬間だ。