不思議。それがワタシの種類を表す言葉だ。
いつもいつも不思議なことばかり言うから、あだ名は不思議ちゃん。
今日も学校でそう呼ばれた。
けれど、このあだ名はとても不快だった。
「あれぇ?不思議ちゃんは今日は黒魔術の訓練じゃないの〜?」
「こんなところで何してるんだ?他のところが君の居場所だろう?」
もちろん、ただの戯れだ。いじめなどではない。現に、言ったのはワタシの友達だ。しかも、小学校に通っていたころからの友達。
でも、なんか不快。とっても不快。
足下にある水溜まりに、持っていた閉じた傘を突き刺した。
水飛沫が上がり、それが膝まで伸びたワタシの白い靴下を濡らした。
白い靴下に染みができる。
「あぁ〜あ」
やっちゃった。
でもいいや。洗えば落ちるだろうし。
そう思って浅い池から出て家に向かって再び歩き出した。
空は朝の黒かった空とはうってかわってとても綺麗な澄んだ青空。
でも青空というより水空。青というより水色の空。
空を見ていると、隣から声が聞こえてきた。
「あれぇ?また空見てるのぉ?」
「またって何、またって……不思議ちゃんが空しか見てないみたいじゃないの」
「ミキ、だってそうだろう?僕はクルの言葉が当たってると思うけどな」
「ちょっとルイ。不思議ちゃんが困ったようにしてるじゃないの!!」
「なんだよ、僕に歯向かうのか?」
「二人ともぉ、喧嘩はダメダメだよ〜」
もう、本当にコイツらは……。
いくら小学校からの付き合いだからってそこまで言うことないと思うんだけどなぁ。
唯一ワタシを庇ってくれたミキはルイと掴み合いをしていた。折角の可愛い服がしわくちゃになっちゃうよ、二人とも。
「喧嘩しないの。さっさと帰ろう?」
「でも、いいの?ルイったら……」
「いいの。それは帰ってからね。クル〜行くよ〜」
クルがいつも通り、通りすがりの人にちょっかいをかけているところに声をかける。
通りすがりの人も大変だな。クルのちょっかいに嫌な顔一つせず、素通りだなんて。
「はぁい〜」
フリフリのスカートを揺らしながらクルがワタシのところに来た。
そして、皆で家に向かう。
今日もワタシは一日不思議ちゃんでしたとさ。
「あ、アタシ今日エビフライ食べたいな」
「うん。クルもエビフライ食べたぁい」
「えー僕はハンバーグが食べたいよ」
「お母さんが決めることだから、分からないからね」