「…はーい」
こんな朝早くからインターホンを連打しまくる迷惑野郎なんて彼奴一人しか居ないので無視しよう
そう思うが彼奴はしつこく図々しい奴だ。無視ぐらいで退く奴ではない
仕方がなく玄関のドアを開けると案の定僕の顔見知りの人物が顔を出す
「やっほータッキー!一緒に学校行こうぜー!!」
朝日でキラキラと光る金髪の髪が僕の視界に現れる
コイツは僕の親友の望月陽斗(モチヅキ アキト)
中一から現在の高二までずっと同じクラスの腐れ縁
「毎度毎度インターホン何度も鳴らす癖やめてよ…壊れたらどうすんの
あとその金髪朝に見ると目がチカチカするんだけど」
「え、俺の金髪目がチカチカするほど輝いてるって?!照れるな〜」
何をどう聴いたらそうなるのか陽斗は誉められたのだと勘違いして照れる
僕は溜息をついて「いや誉めてないから…」と呟く
どうせ聴いていないだろうけどね
*
いつもより早く教室に着き鞄を机に置く
本日2回目の溜息をついて席に座ろうと思った瞬間
「おっはよーん!!瀧森っ!」
といきなり後ろから飛びついて来た
僕はビックリして「うわぁ?!」と情けない声を漏らす
慌てて後ろを振り返るとクラスメイトの中では喋ることの多い榎本楓(エノモト カエデ)だった
「なんだ…榎本か」
「榎本かって何よ。榎本かってー!」
ムスッとした顔をして榎本が頬を膨らませる
彼女は僕をからかうのが大好きで良く絡んで来る
話は合うので友達として好きなのだが毎回飛びつくのは勘弁して欲しい
「…で僕に何の用?」
「相変わらず朝は冷たーっ!まぁいっか。いつものことだし
今日転校生が来るんだってさ!女かな?男かな?ねぇ瀧森はどう思う?」
転校生…あと一ヶ月ほどで夏休みだっていうのにこのタイミングで?
そう疑問に思いつつ榎本には「別に興味ない」と言って席に座る
座ったと同時に丁度チャイムが鳴り担任が来てHRが始まった
____このとき僕は転校生があの子だということを知る由もなかったんだ