「ねぇ、楓ちゃん。大きくなったら僕と結婚してくれる?」
「良いよ!約束ね、依与ちゃん」
「うん、約束」
小さい頃の約束である《大きくなったら結婚しよう》。
今となっては、その約束事態依与吏にとっては小さい頃の約束、としか思っていないだろう。
私は本当に大きくなったら依与吏と結婚出来るんだって思ってた。
小さい頃のことって印象に残る事ばっかりで忘れようって思っても忘れられない。しかも約束だって言うのならそれこそだ。いくら努力しても忘れられないものは忘れなれない。
「はぁー」
大きなため息をついた。自分の不甲斐なさに嫌気が差したのだ。確かに今思えば冗談だって分かるけど、小学校になる前の私には冗談か本気かなんて分からない。
「わかんないよ・・・」
「何が?」