私‥‥‥‥連れ去られちゃった_______
僕が君のその言葉を聞いたのは 太陽が輝く光の夏休み。
今年の夏休みは終わらない永遠の夏休みとなり僕達の
旅の始まりとなる_______
キーンコーンカーンコーン‥朝のチャイムが鳴り僕は急いで
校門へ走り出す。
「アオ、今日もギリギリ。セーフ‥明日からは気をつけてね。」
可愛らしい、と言うよりは優しく落ち着くような音色で述べる女の子は
『あさみや シエル』僕の学校でトップを誇るエリート小学生。
僕は『シェル』って呼んでる
「あ、あぁ。ごめんごめん。これからは気をつけるよ」
「うんっ もう生徒は‥」
ダダダダッと走り駆け寄る音。僕を突き倒し挙げ句の果てにシェルに抱き着く
無邪気で可愛い子の女の子は『深宮 ノエル』ふかみや のえる
シェルの一番の親友で学校では無邪気なウサギ、として知られている。
「シェル!おはよう?」
「おはよう。ノエルン今日も元気だね」
「私はいつでも元気だよ!ねぇねぇ、それよりシェル!アオ!」
なぜか僕はアオって呼ばれる
「大変大変!事件が起きたの!」
「事件?」
「何それ。僕にも教えてよ」
顎に手を当てニヤッと笑うノエルン。あ、ちなみにノエルンって呼んでるのね
「なんと、あのプリンセス『白石はくあ』ちゃんがね、連れ去られちゃったの!」
「へぇ。」
「へぇ‥ってええええぇぇぇぇぇええぇ!?」
先程と変わらず落ち着きノエルンの話を聞くシェル。それに対して僕は
叫び叫び叫び‥一瞬固まったさ。何が悪い。固まったよ?それのどこが悪い。
「それで、はくあちゃんはどこにいるの?」
「それがぁ私にも良くわかんないんだ〜‥夏休みに入るし、私達三人で
はくあちゃんを探す旅に出よう!って話!」
「そっか。」
「は!?」
「だーからっ、私達三人は無敵のbrilliantprincess(ブリリアントプリンセス)だよ?だからだからだから!はくあちゃんを探す旅に出ようよ!」
紙に書いて無邪気に微笑みはくあさんの絵を描き中々の画力を見せつけるかのように僕達の顔の前に持ってくる。
「いや僕は良いけど‥」
「私も夏休みは暇だし、参加するよ。」
「決まり!集合は今日の放課後ね!親には話つけて1週間くらいおばあちゃんとこに泊まり行く!とか、テキトーに言っといてね!」
そのまま走り去るノエルン。その後を追いかけるかのようにスカートをたなびかせ走るシェル。あ、もうすぐ下着見える‥あっ‥もう少し‥‥み、み、見え‥
「アオ!何しているの?早く行くよ」
たっと僕の所へ駆け寄り顔を覗き込めば僕の手を引き連れて行くシェル。
手を繋がれた嬉しさを堪えるのに僕は必死だ。
「アオはさ‥旅どう思う?」
急に表情が変わるシェル
「え‥まぁ、女の子を救うんだし?悪くないと思う」
「‥そっか。じゃあ、早く行こう。」
少し黙り込んだ後僕を見て優しく微笑むシェル。あ、待って待って‥
その笑顔連写しなきゃ‥‥なんて考えてる僕。やめろやめろ。はいしゅーりょー
「今日の授業はここまでー 明日から夏休みに入るが勉強と生活リズムは崩さないように。勉強にはきちんと取り組み検定に合格出来るよう頑張れよー解散」
「はい。はい‥じゃあ、夏休み明けには完成させておきます。はい。」
「‥シェル、頑張ってんねぇ‥」
「だねぇ‥」
ぺこりとお辞儀をし先生にアイディアや話を聞きこくこく頷きながら真面目な顔をして話すシェルを見ながら僕達は窓の外で怪しげなハッチング帽子を
被りてだいまシェルを観察中だ。
「バレバレだよ」
窓を開け両手を頬に添え首を傾げ僕達を見るシェル
「あ、バレたか‥」
「ちっ‥」
「もう準備できたんだ‥あ、私はおばあちゃんに少しの間夏期講習に行って来るって言って嘘ついたから大丈夫。もう行く準備は満タンだよ」
そう言って服や食料、テントやはさみ、のり、木の棒、水、飲み物までを
当たり前のように出すシェル。
「‥‥すご‥」
「僕だけではこの旅無理だったかも‥」
「私達は三人で『ブリリアントプリンセス』でしょ?協力するのは当たり前だよ」
「そうだね!」
僕とノエルン、二人揃って声を合わせ同じ言葉を発する。
「それじゃあ‥僕達のはくあちゃんを救え、旅の始まり‥」
「ブリリアントプリンセス!」
「行くぞ〜!」