僕と彼女の

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3: 散 ◆Bk:2015/12/18(金) 18:15 ID:4k2



 主題となる話を始める前に、少し、くだらない話をしようと思う。それは、僕の一人の友人の話だ。
 真辺さだめ――若干変わった名前をしているが、それ以外は何の特徴もない――こう言ってはいけないかもしれないが、至って平凡な女の子だ。
 性格は温厚。
 容姿も特別美麗というわけでもない。
 成績もそれなり。
 運動は少しばかり苦手。
 そう、本当に、どこにでもいそうな、ありふれた形の人間だ。ある、ひとつの点を除いては。
 先程の発言を、ひとつ訂正しよう。そんな彼女と、僕は特別親しいわけではない。友人ではない。そのこと――僕と彼女の関係が、彼女が他の人間と違うことを、示している。
 彼女、真辺さだめは、誰にでも優しい、のだ。
 誰に対してでも対等に接し、悲惨な姿の動物でさえも、可哀想だ、自分より下だ、と考えることはない。
 僕もきっとその内の一人だと思う。彼女の優しさにより救出された、実際は哀れな、人間。
 ここまで聴くと、まるで僕が彼女のことを知り尽くしているように思えるが、これは、全て僕の一方的な考えだ。
 言わば、彼女がこうであって欲しいという押し付けだ。
 だから、今の話は気にしないでいてほしい。
 物語の本題は、これからだから。
 


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