橙色に染まった大地にゆらり、二つの影。
見つめ合うように向かい合うそれらは、既にお互いを思い合う二人のようで。
__ふと、一つの影が動いた。
「……‥好きです、あなたが。」
暫く時間が止まったように感じたのは、きっと気のせいじゃない筈。
応じるように、もう一つの影も揺れた。
「……‥俺も、好き」
その返事を、言葉を、声を聞いて。
何年かぶりに、私の頬に雫が落ちた。
ーーー
「……‥ああ、ね。」
私には、好きな人がいる。
好きすぎて好きすぎて、頭が痛くなるくらいに思っている人が。
__いつでも瞼を閉じれば、彼の顔が浮かんでくる。そしてその都度頬が上気して心臓が苦しいほどに早鐘を打つ。
今だって、そうだ。そうなのだ。
……‥でも、
「好きなの。……本当に」
……この恋も、もう終わりだ。
ーーーー
橙色に染まった大地にゆらり、二つの影。
人型をしたそれらの顔の部分が重なった時、私は小さなため息をついた。
「……うんこ漏れそう。」