暗い山道を走っていた。
「はぁっ、はぁっ」
息を切らせながら走っていると急に視界が開いた。
崖の向こうに海があり、崖に波が打ち寄せていた。
「行き止まり...。」
パキッ。
後ろから小枝を踏んだ音と人の気配がした。
(どうする?...振り返るか。)
そう思い振り返った瞬間、体に冷たい物が通り抜けて行った。
「...え?」
一瞬、何が起こったか分からなかったが、冷たい物が通り抜けて行った所を見ると赤い血が流れていた。
相手を見ると血に染まったナイフを手に握っていた。
その時、自分に何が起こったかが分かった。
(刺されたのか。)
ドンッ
誰かに押された。
振り返ると自分を刺した男だった。
「あっ...。」
声を上げた瞬間、崖から落ちた。
自分的にはゆっくり落ちていく感覚だった。
ドボーン
水に落ちた音が耳に聞こえゆっくり沈んでいくのが分かった。
水面が遠くなっていくのを見て目を閉じた。