十字架の記憶

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2:歩未:2015/12/28(月) 13:43 ID:A7U

「今日も暑くなりそうだな〜。」

窓を開けて朝日を浴びていると弟の透が部屋に入って来て

「今日も海に行く?」

と、聞いてきた。
夏になってから仕事が休みになることを楽しみに待っていて10日位お盆休みをとることが出来た。
休みに入ると一目散に家の近くにある海で弟や友達と遊んでいるのだ。

「当たり前だろ!行くに決まってる。


と、弟に言うと1階のキッチンから母(幸子)の声が聞こえた

「早く降りておいで〜。朝ごはん出来てるよ〜。」

1階のリビングに行くと父(誠)が新聞を読んでいて母はコーヒーをカップに注いでいた。

「おはよう。」

と挨拶をして席に着いた。
朝ごはんはトーストと目玉焼きとサラダだ。
朝ごはんを食べていると父が

「今日も海に行くのか?行くんだったら波に気をつけろよ。」

と言ってきた。
海に行く前に毎回言われていることだ。小さい時から言われ続けている。

「うん、気をつけるよ。」

そう返事をし朝ごはんを食べ終わると海に行く支度をし弟と玄関でサンダルを履き終わると母に

「行ってきまーす!」

と言い外に出た。

浜辺に行くとすでに2人来ていた。

「遅い!」

と軽く叩いて来たのは幼馴染みの逡だ。

「何してたの?」

と聞いてきたのは逡と同じ幼馴染みの咲だ。
みんな集まったことだし泳ごうと思い水着に着替えて泳いだり遊んだりしていた。
浜辺でビーチバレーをしていてボールを遠くに飛ばしてしまいボールを取りに行った咲が血相を変えて走って帰ってきた。
どうしたのかと思っていると咲が

「人が倒れてる!早く来て!」

と言われ着いて行くと若い女性が倒れていた。
急いで救急車を呼びそのあと母にも連絡し、救急車が来るまで待っていると逡が何かを見つけた。
女性が手に十字架を握っているのを見つけたみたいで咲が汚れを拭いていると救急車とパトカーが来た。
丁度、母も来て警察官にいろいろ聞かれている間に女性は救急車に乗せられていた。
ある程度話をしたら弟と家に帰ると母が

「あの人、生きてたって。ただ、大分衰弱しているらしいわ。」

と言われ父には

「お前たち今日は早く寝なさい。」

と言われ晩ごはんを食べたあとすぐお風呂に入って部屋に戻った。
弟が部屋に入って来て

「大丈夫かなあの人...。目が覚めたらお見舞いに行こう?」

と言った。

「うん、あの人の目が覚めたらお見舞いに行こう。」

と言い目を閉じた。
虫が静かに鳴いているのを聞きながら眠りに落ちた。


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