・・・好きだ。ずっと前から・・・
その言葉は、私が
何千回と繰り返した告白。
・・・されたい言葉。
もちろん、宇野くんが
告白してくれる妄想なんだけど。
でも、それを今言ったのは
宇野くんじゃない。
「一輝・・・?」
ふりしぼって出した声は
かすれていた。
「ずっと、好きだったんだ。
お前が、隣の席に
なった時から・・・」
一輝の顔、真っ赤だ。
(あぁ・・・)
「・・・いいよ」
「えっ・・・?」
一輝がうつ向いていた顔を
上げ、信じられないといった表情で
私を見つめる。
「わ、私は・・・
宇野くんが、初恋だと思ってた。
でも、でも・・・
今、私、気付いたんだ」
すっと顔を上げ、私も見つめ返す。
「私の本当の初恋は、
一輝なんだって。」
うおぉぉぉーーーーーーーッ!
男子数人が声を上げる。
「嘘、じゃないよな、
あっでも・・・」
と、何やら一輝は呟きつつ
自分の頬をつねり始めた。
「い、いてててて!」
「もぅ、当たり前じゃんか・・・」
くすっと私は笑うとそっと一輝の
頬に触れる。
「これからも、よろしくね。」
あれから1年。
実は一輝、あの後、
引っ越してっちゃったんだよね。
だから、みんなのいる前で
告白したらしくって。
なんかちょっと、可愛いなぁって
思っちゃったりして、ね。
「・・・あ、一輝だ」
おーい、と一輝が手を振っている。
それじゃあそろそろ、
行きますか。
「今行くよー」
私は軽い足取りで一輝のもとへ
走った。
【終わり】