二人の騎士が愛したお姫様は…

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3:向日葵:2016/01/30(土) 19:00 ID:bs6

【1、姫と騎士】


「おはよう、流星、ハル」

現在、学校に登校中。
俺は、佐々木裕太。
中学三年生だけどよく高校生に間違われる。
まあ、あと2ヵ月で卒業だけど。
そして、俺は来週に受験を向かえる身だ。
学校ではあまり人に強く当たらない性格のせいか王子様系男子で通っている。
そんな俺には幼稚園から一緒の幼馴染みがいる。

「…はよ」

一人はコイツ、長谷川流星。
冷静で無口な性格。それでも顔が良いからか “ クールなナイト ”って言われて騒がれてる。本人は気にしてないっぽいけどね。そして、俺の親友。

「おっはー」

…この子は坂下ハル。
天然でいじけやすく、鈍感。
それでも友達は多い。
ハルを好きなやつはいっぱいいるだろう。
俺と親友はその中の二人。
気づけば好きになってた。気づけば…親友も好きになってた。
それでもずっと告らなかったのは
この関係を壊したくないっていう願望が強かったからだと思う。
そして、俺たちは同じ高校を受験する。

「いよいよだねー受験。私全然勉強してないやー」

苦笑いで言う。
それは笑い事じゃないけどな。
そう思いながらクスクスと笑った。

「裕太と流星は頭良いから大丈夫だよね。私だけ不合格とか…やだー考えたくない!」

サーと青くなる愛しい顔。
笑ったり、怒ったり、青くなったり、赤くなったり。
度々変化する表情を可愛く思う。
俺はハルの頭にポンと手を置いて撫でた。

「大丈夫だよ。これから勉強して、要点さえ押さえれば受かるから。がんばろーな?」

お前と離れるとか俺が耐えられない。
必死に勉強したのもお前から離れることがないよーにするため。
そんなことが言えるはずもなくて、俺は頭を撫でた。

「アハハーありがとー。裕太に言われたらなんか自信ついたー」

……うわ。
そんなこと笑顔でサラっと言うなよ…
赤くなった顔を手で覆い隠した。
そんな様子を見ていた俺の親友は眉間にシワを寄せていた。

「…裕太、あそこ呼んでる」

チラッと見ると……

「げっ」
「王子〜♪一緒に学校いこぉー?」
「あ、ずるぅい。私も王子といくぅ」
「私も私もぉ」

あっと言う間に女子に囲まれた。

「りゅ、流星〜。お前っ」

ヤキモチの腹いせができたせいか満足そうにヒラヒラと手を振ってハルと並んで歩いていた。
このヤロー…
でもそれも束の間。
他の女子が流星の周りに集まり、キャーキャー言っているようだった。
そして、ハルは女友達と一緒に登校していた。
ほっとした俺はゆっくり登校することにした。

「ねぇ裕太ぁ受験終わったら私と付き合お?」

上目遣いで女は言った。
これで落とせるって思ってんのかと思うと腹が立つ。
そんなのが効果あるのはカレカノ限定だろ。

「ごめんね。俺、好きな人とじゃないと付き合えないから。」
「じゃー好きになってよぉ」

そんなムリな……
苦笑いをして適当にその場をあしらった。
俺はハルが好きなんだよ。
そういったらハルの耳に入ってしまう。逆に好きな人とって言ってハルに誤解させるのも嫌だ。

この関係は…いつまでも続くんだろうか…

そんなことを考えながら俺は学校の門をくぐった。


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