…ここが私の席か。
初めて入る1-6の教室。
黒板に貼られている席順の紙に群がるクラスメートの間から、安藤の字を見つけ、そこへと座る。
見た限りどうやら出席番号順のようで、頭文字が「あ」である私は一番前の窓側。
窓側は好きだけれど、一番前っていうのが気に入らない。無論、席を変わる事なんて出来るわけないけどね。
頬杖をついて、爽やかに広がる水色の空を眺める。白い雲がゆっくりと動くのを見ながら、「あぁ、今も時間は流れていっているんだな」なんて、思い耽ってみたり。
ぼーっとするのは慣れてしまった。
つまらないのは変わらないけれど、一人での時間は潰せるようにならないと。
がたん、と隣から音がしたから、隣をちらっと盗み見る。
そっか、隣に井上…みたいな名前の男子が来るんだったけ。
黒ぶち眼鏡に、サラサラな黒髪の爽やか好青年な井上(仮)君がこちらを見てにこりと笑った。
綺麗にきゅっと上がる井上(仮)君を見つめながら、笑顔の作り方を知らない私は軽く会釈をする。
…彼みたいに笑えたら、友達出来るのかなぁ。