岩倉杏里(いわくら あんり)は、僕と同じクラスの女子生徒だ。
成績は常にトップ。容姿端麗で、性格も良い。友人も多く、先生からを一目を置かれている。
僕、成瀬優人(なるせ ゆうと)はそんな彼女に憧れを抱いていた。そして、その憧れは高校二年生の夏休みを間近に迫った今! “恋”と言う形を成すのだ!
別に良いだろう?! 恋をしたって! 相手は「少年の日」の登場人物である模範少年ことエーミールを具現化し、性別をひっくり返したかの様な人物だ! しかし、性格に難は無く、彼女は誰にでも優しい!
誰だって彼女に恋をしてもおかしくはない。誰だって彼女と特別な間柄になりたいと思ってもおかしくない。それを嫌悪視する資格は僕にはない。
ゆーえーにー!
僕は彼女に恋い焦がれ、今まさに特別な間柄(はーと)になりたいと思っている!
ならば、思い立ったが吉日だ!
さーいえっさー!
告白じゃー!
何が“ゆーえーにー”か、わからないだって? 心配するな。僕にもわからない!(どや顔)
さあ! 告白祭りじゃー!
と思ったが、岩倉さんの下駄箱に突っ込んだラブレターに記載した時間を既に三十分以上オーバーしているため、これもう脈皆無の可能性しかない。