手元のスマートフォンは午後五時すぎを示していた。四時をすぎた頃にはホームルームも終え、生徒は各々の放課後活動の場へと足を運んだ。
僕は生憎にも部活動なる、青春製造機には所属しておらず、岩倉さんも同様! しかし、彼女は部活動に所属しないかわりに生徒会役員だ。今日も生徒会活動がある。のは、既に調査済み!
故に生徒会活動が終わる四時半頃を目処(めど)に、体育館裏に来てほしいという旨のラブレターを、桜色の便箋に綴り、彼女の下駄箱にそれはもう、目には止まらぬ早さで突っ込んだ! それこそ反動で下駄箱が少々へこんでしまうほどに(はーと)。
しかし、何故だ!?
時刻は今、五時十二分を過ぎようとしている! あ、今十三分になった。
何故だ、岩倉さん! 君は時間にしっかりした方だろう? 僕は知っている。君は時間に遅れたりするのが嫌で、友人などと待ち合わせをした際、十五分前には待ち合わせ場所に待機していることを。
何故知っているかだって? それは(放送禁止文章)。
そんな君が、まさか、遅刻……だと……?
僕は、筆舌し難い脱力感をひしひしと感じた。