そして夏は終わる

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3:太もも@七氏のムクロ氏:2016/03/27(日) 23:28 ID:3uI

ふらりふらりと、歩く。
木が日光を遮ってくれるけど、やっぱり暑い。あたしは汗を拭った。

でこぼこしている山道。
たまに狸の死骸を見かけた。可哀想に。暑かったのかな。
『死』というものが、やけに軽く感じた。

歩いていると、川が見えた。
大きな岩が構えている、浅い川。水が綺麗だ。地面の色で、透明な茶色に見える川。
あたしは、右足の靴を脱いで、その川に足を浸けてみた。

「つめたっ……!?」

反射的に足を引っ込めてしまう。
なんて冷たいんだろう。
ボーッとしていた頭がようやく正常に戻る。
そこからはもう簡単。もう片方の靴を脱いで、両足を川に入れて、ビチャバチャと遊んだ。
冷たくて、気持ちよくて。
祖母や、なにより進路のことについて忘れられた。
こんな軽い気持ちになったのはいつぶりだろう?
多分、15歳になる前はずっとこんな感じだった。15歳になってからだ。あんなに暗くなったのは。

「アッハハハ」

思わず笑ってしまう。
あたしの笑いにつられたように、どこからかあたしの声じゃない笑い声が聞こえた。

あたしは幻聴かと思って、無視しようと思った。けど、やっぱり気になって、周りを見回した。
そしたら、いつの間にかあたしの後ろに女の子がいた。
白いワンピースに長い髪。明らかに幽霊を連想させるその姿に、あたしは叫んでしまった。
女の子は「ちょっとちょっとぉ」と、また笑った。

「悲鳴なんてあげないでよぉ。もお、失礼しちゃうなぁ」

声は若干低い。見た目はあたしより少し上のようだった。
言葉はどこか丸くて、女の子って感じだった。声は低い方だけど。

「あ、あの、あなた、誰……?」

とりあえず、気になる質問。
怪しい人とは正直喋りたくなかった。けど、年齢が近そうだったから、なんとなく……そう、なんとなく聞いてみたのだ。
女の子は「うーん」と少し考えたからまた笑って答えた。

「自分で考えてみて?」

あぁ、この子とは絶対気が合わない。
あたしは女の子から遠ざかるように川に一歩入った。


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