『…ッ、何だよ!
俺だって…、お前の事好きなんだからなッ!』
ゲーム機から聞こえるイケメンボイスなイケメンセリフ。
「何回聞いても飽きないなぁ…。
やっぱり、奏君はベストオブツンデレだよね。」
うんうん、と誰もいないのに1人悲しく頷く私は白浜 美都。
いわゆるリア充…、じゃない方。
そう、非リア充。
友達なんていないに等しいし、彼氏なんて存在するわけもない。
家族と、この『奏君』のために毎日を生きている女子高校生なのです。
「みーとーちゃーん!ゲームしてないで、学校行ってみたらー?」
1階から聞こえてくるお母さんの声に、ハッとして時計を見る。
[8:20]
遅刻寸前のこの時間に私は目を疑いつつ、スクバを乱暴に持ってから急いで階段をかけ降りる。
「お母さん、行ってきます!」
「行ってらっしゃーい!」
お母さんは天然な方だと思ってる。
さっきだって、学校行ってみたらって…何かのお試しじゃないんだから。
足の速さには自信があるものの、片道30分以上はかかるこの道を、10分で行けるかどうかなんて目に見えた話。
__今日も慌ただしく1日が始まった。