『ねえ、紬はどう思う?』
『ぇあ、うん。私もあの先生ヤダな〜。ねちっこい感じが特に!』
『……だよね〜!やっぱマジうざい〜』
本日の友人との一連の会話を思い出しながら、ふと恥ずかしくなって布団に顔を埋めた。
なんだこのなんともない返しは!!もっと気の利いた切り返しで行けよ!!
『それな〜!マジあいつネチリーヌ』とかさ!!
もーちょい捻ろーよ!相手もなんて言えば言い方分かんなくなるじゃん!!
3分くらい布団で悶えたら、反省会開始だ。
ーー吃りとか無言はだいぶなくなったけど、やっぱり受け答えが自然じゃないな……
もうちょっと明るく言うべきか。いやまず、咄嗟の受け答えにも対応できるようにしないと……
「難しい……!!」
自分の意見を求められた場合は、だいたい相手に話を合わせればいい。
具体的な事聞かれたら、相手と同じようなこと言えばいい。
そうするだけで相手は自分と同じ感性を持つ人間だと思って、大層機嫌をよくするから……
でも、実際にそれを口に出す時が問題なんだよな〜
棒読みだと明らかに話し合わせてるだけって分かるし、感情込めすぎても逆に演技くさいし……
今日の私のは、後者気味だったかも……
やっぱり、ギャルっぽい言葉も使うべきだろうか。
『そうだよね〜』だとなんか真面目っぽいし……『それな〜』の方が、馴染んだ感じがある。
今まで真面目キャラを貫いてきた私には少しハードルが高いけど、ぼっち脱会の為だ……意を決してやらねば。
そうと決まれば、イメトレ。
幾つかの相手からの質問や言葉をイメージして、言うタイミングや言葉などを練る、実際に言ってみる。
布団の中で『それな〜!』を反芻する私の姿は、側から見ればとても滑稽であろう。
相手に言葉一つ返すのに、こんな苦労するなんて……ね。