初々しい新1年生が、今年も、門を通る。
美傘もその一人。
近所で仲の良い世莉と登校した。
二人で走って、クラス表に目をやる。
中沢中沢っと。
「あった?」
「ない。」
なにしろ、6組まであるのだ。
こんなところに時間がかかる。
「!」
特技に『光速読書』と書く世莉が、声を上げた。
「くそっ!築とクラスちがったっ」
(築は、世莉が好きな人だ)
確かに、世莉が見ている3組のところに、はっきりと『唯川 築』と書かれている。
ん?
一瞬、目を疑った。
『吉田 成』
いやいやいや…。
もう一回、見た。
はっきりと、ふとい、黒い文字で、『吉田 成』。
それは、唯川のすぐ下にあった。
慌てて下から上へ自分の名前を探す。
……。
一瞬、調子の悪いゲーム機のように、固まった。
『深水 ゆい』
一番見つけたくない名前が…。
今、発見した。
これはやばい。
まだな行ではないことに、一度安心したのもつかの間、
「ちょー美傘ー一緒じゃん!2組!」
世莉の声が、頭にこだまする。
ってことは