「以上が汝、クロエリア・ユナミージュの罪状である。……何か異論は?」
「……」
血が出そうなほどきつく唇を噛み締めて、神官からの言葉を待つ。
突きつけられた罪状に記されていたのは、どれもこれも身に覚えが無いもの___然し、そんなことは関係ないのだ。全ては、私を奈落の底に突き落とす為の建前に過ぎない。
もうわかりきったことだから。……だから、早く…早く、終わって。
何も答えない私に異論は無いと取った神官は、次の資料を取り出す。
「国法に基づく罪人処分の____」
神官の声が、遠く、遠く聞こえる。
____早く、早く……!!
今はただただ、この言葉だけが脳内を占める。緊張と恐怖で、はくり、と口から吐息が漏れた。
「……汝を爵位剥奪及び、国外追放の刑に処する。」
「……!!」
冷たい声色で告げられた刑は、余りにも大きすぎるものだった。思わず足がすくみそうになって、ぐっと地面に立つ足裏に力を込める。
ショックで目を見開く私に反し、周囲からは途端に歓声が上がった。皆笑顔で、拍手をしている。その中には、私の家族もいた。
私が驚愕と絶望で呆然としている間にも兵士がやってきて、私の腕を縄で強く括りあげる。そして、「歩け」と命じられて足を蹴飛ばされた。
私が転びそうになるたび、会場からは野次や嘲笑が上がる。時にはものを投げられたりもした。
私は声を上げることもせず唇を噛み締めて、ただひたすらに会場の外への短いようで長い道のりを歩いた。