魔法使い。それは、優しい心を持った者。

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2:スイ◆FA:2016/06/08(水) 23:31 ID:E32


1 魔法使いの誕生


___窓から入ってくる、太陽の光。
目覚まし時計が部屋中に響きわたる。
その目覚まし時計のおかげで、彼女はいつも通り起きられるのだ。

「うっ……う〜ん……ふわぁ〜、もう朝かぁ。学校やだな〜……」

ゆっくりと起き上がり、大きくあくびをする。
目覚まし時計を見ると、もう朝の6時半。もう夏だからか、窓の外の太陽は早くから輝いている。
ベッドから起きようとし、布団から出てくる。
そして、バジャマから普段着へ短時間で着替え、ゆっくりと歩きながらダイニングへと歩いた。


彼女の名前は緑風 実糊。ごく普通の小学6年生である。
明るく、誰にでも優しい。が、頭は悪く、ちょっとめんどくさがり屋な一面もある。


……そんなごく普通の実糊だが、実は、実糊は魔法使いになる資格があるのだ。
それはなぜか。理由は、魔法使いは優しい者しかなれないのだ。心から優しい気持ちを持っている。そして、何ごとも諦めずに努力をする者。
こういった者が、魔法使いになれる資格があるのだ。
実糊はめんどくさがり屋で、しかも頭も悪い。それでも、優しい心を持ち、何ごとも諦めない者こそが___真の魔法使いになれるのだ。

もちろん、このことは実糊自身は分かっていない。
だが、なれるのだ。実糊なら、この世界を救う魔法使いに……


「おはよ〜……お母さ〜ん」

今起きたばかりの声で、実糊はあいさつをする。
ダイニングに入ると共に、皿を洗っている実糊の母と、もうすぐご飯を食べ終わりそうな実糊の父が目に入る。
実糊は、それを見て、今日もいつも通りだなぁ……と、心がほのぼのした。

「おはよう、実糊!今日も早いわね〜」
「そりゃそうだよ、だって学校だもん!起きたくなくても起きなきゃいけないじゃん?」
「休みの日は、10までぐっすりだけどな!はははっ」
「お、お父さんうるさいよっ」

と、実糊は少し焦る。そうだ。実糊は、休みの日はいつも朝の10時まで寝ている。それもぐっすり。酷い時は、12時くらいまで寝ていたこともあるだろう。
ふざけた会話を交わしながらも、実糊は4つある内の1つの椅子に座る。

テーブルには、簡単にイチゴジャムを塗ってある食パンと、透明な水。
朝ご飯は、いつも簡単な物で済ます。___いや、普通の家は簡単な物で済ませるだろうが。


「いただきまーす!」

手を合わせてそう言うと、まずは食パンを豪快に食べる。食パンのイチゴジャムが、実糊の口回りに付く。
実糊はそれを分かっていたのか、そこら辺に置いてあったティッシュを取り、口回りを拭いた。
時々水が恋しくなり、実糊は冷たい水を喉に通らせた。

「いってきまーす!」
「いってらっしゃい、気を付けるのよー!」

学校へ行く時に、母と交わす一言。赤いランドセルを背負って、家から飛び出す。
気を付けるよ、だから心配要らないよ!と、実糊は母に届くかどうかも分からずに、心の底で思った。


「おはよーっ!春菜ー!」
「みーちゃん、おはよ〜。今日も元気だね〜」
「あったりまえよ!私はいつでも元気なんだかんね!」

親しく会話をする2人は、親友のように仲の良さそうな関係だった。
実糊が話しかけた相手は、佐藤 春菜。実糊の親友で、落ち着いた雰囲気を放っており、数学が得意な少女である。
ちなみに、みーちゃんというのは実糊のことである。春菜からは、そう呼ばれているのだ。


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