人の不幸は蜜の味

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2:ほのあ◆1o:2016/06/16(木) 00:44 ID:fSQ


1 不幸

とある家の中、和室の部屋の真ん中に電源が付いていない黒いパソコンが置いてあり、パソコンの目の前にぽつんと正座をして座っている小学生がいた。
いかにも性格が暗そうなオーラを放っている。パソコンに吹きかける様に、小さく溜息をついた。

「……なんで、私ってこうなんだろう」

溜息をついたあと、息を吸う暇もなくそうつぶやいた。
黒い画面のパソコンに自分の顔が映る。その顔は至って不細工でも可愛くもない普通の顔だが、本人自身は不細工過ぎて吐き気がする。
自分の鏡を見るのも嫌だ……と思い、自分の顔が映る黒いパソコンを閉めた。

彼女の名前は月条 綾。小学5年生で、不登校の女。
学校の友達からはいじめられており、悪女とも言われている。
悪女と言われている理由は、きっと不登校だからと綾は自分で考えている。

「うぅ……」

そう思うだけで頭痛がして、とっさに頭を抱え込む。
そんな時、襖がスーッと音を立てて開いた。

「綾、ちょっと話が有るの。来なさい。」

襖を開けたのは、暗い顔をしている綾の母親。
そう言われるが、どうせ不登校になった理由を聴きに来たのだろう、と勝手に決めつけ、後ろを振り向く事さえ出来なかった。

「今は……嫌だ……」
「……そう、分かったわ」

母親には悪いが、きっぱりと断った。
すると母親はそれを分かったと受け入れる。普通の母親ならば無理矢理にでも来させるだろう。
____だが、すぐに諦めてしまった。
襖が閉まる。綾はそのまま布団を引いて、その中で泣いた。

「何度言っても聞かない人には諦めるって、本当なんだね……」

そう暗い声でつぶやく。その呟きは誰にも聞こえない。
なぜなら、とても小さな声なのだから。
綾は現実逃避をする様に、そのまま眠りにつこうとした。


……眠りにつこうとしてから二十分は立っただろうか。
綾は不眠症で、目がぱっちりと開き、全く眠りについていなかった。
これも、綾の1つの悩み。家にばかり引き込もっているから、寝られないのだ。
それに、寝たら寝たで悪夢を見る。それだから、疲れが取れないのだ。
引き込もっている綾でも、疲れはある。ストレスやらなにやらが溜まっており、それを発散できないからだ。

眠くない……そう吐き捨てるように言い、綾はそのまま布団に出て、近くに置いて有る古い扇風機に電源をつけた。


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