君へ。

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2:由希◆q. YELLOW DANCER:2016/06/30(木) 21:33

0.プロローグ

……一緒だよね?
うん、ずっと!

あれ?これは誰の声?聞き覚えはある。今よりも少し高い。あの時だ。
近くて遠い君…

「…ら…倉…藤倉!!!」
「はぃぃぃぃ!!!!」

ん?ここは?って一瞬思ったけどすぐに思い出した。
そうだ、学校だ。

先生「ったく、私の授業で寝るとはいい度胸ね?」

さーせん。

あ、皆さんこんにちは!私、藤倉透です。"とおる"って名前だけど、女子だよー。

透「はぁ…スミマセン」
先生「反省文な」
透「そんなぁ〜…」

バカな。睡眠とは生きるためにあるものだ。決して無駄なものじゃあない。
いわゆる、生命力の源。

菜穂「びっくりしたよー!寝てるんだもん」
笑いながらそう言っているのは、井上菜穂。私の親友。

透「あはは…」
仕方がない。私が学校で居眠りしてしまったのには理由がある。先生以外、この学校で知る人はいないだろう。

透「あ、先生に反省文渡してくる!」

まったくもって、紙のムダ使いだと思う。木を大切に!とか言うけど、減らしてるのは何処の誰やら。

透「失礼します…」
先生「ああ、藤倉。反省文か?どれ…」

先生は私の書いた反省文(反省などしていないさ)に目を落とす。

先生「……ま、ちゃんと反省してるようだな。見逃してやる。それはそうと」

やった!

透「はい?なんですか?」
先生「まだ帰って来ないのか?保護者の方々」
透「あ…はい…」

そう。もうかれこれ1ヶ月以上、家に帰ってきていない。
ある朝、机の上に5万置いてあった。驚いた。いつも何も置いてないのに。起きたら親がいないのは、当たり前だった。仕事だ。
とくに気にしてなかったんだ。その時は。どうせ、また帰ってくるだろうって…。

だけどそうはいかなかった。1週間、3週間。そして1ヶ月がたった。冗談じゃない。可笑しい。

先生「バイト、何時までだ?」
透「10時までです」

もう5万じゃ足りない。
私は学校に相談し、バイトを始めた。先生は何度も『一緒に暮らそう』と言ってくれた。けれど。全部断った。

だから、授業中寝てたのね。

先生「本当にいいのか?独りで」
透「はい、大丈夫です。ありがとうございます。さよなら!」
先生「あ、ああ。さよなら」

頼れない。今さら。どうせ今日も帰って来ないさ。

菜穂「来た来た。遅いよー」
透「ごめーん」

でも大丈夫。支えてくれる人はいるから。

?「……………あいつは…」


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