・チャプター 1
気が付くと私は冷たい床に寝そべっていた。
目の前に広がる高い天井には、数十個の電灯が整列している。
恐る恐る床に手を伸ばすと、ベタついたフローリングの感触が私の手のひらを包む。
どうやら私はどこかの体育館で横になっているようだった。
ナゼ? どうして? そもそも私は……ダレなんだろう?
必死に過去の記憶を辿るも、全く何も思い出せない。
私は答えを探すために、ゆっくりと体を起こした。
すると周囲から3つの視線を浴びていることに気付く。
1つは、近くで心配そうに私を見つめている女子から。
もう1つは体育館の端で腕を組み、メガネ越しにじーっとこちらを睨(にら)んで来る男子から。
そしてもう1つは他の2人とは違い私から距離をとって、こちらを威圧してくる屈強(くっきょう)そうな男子からだった。
それぞれ私に向ける視線の意味は違えど、皆、ひどく怯えているようにも思えた。
それを証明するように、私が起き上がっても誰も動こうとしないし、誰も、何も言わない。
現状を正しく把握(はあく)するためにも誰か1人……私から声をかける必要があるかもしれない。
そう思い、私は静寂に包まれた体育館で静かに立ち上がった。
Q さて、誰に声をかけようか。
A 近くに居る女子
B 隅っこで腕を組んでいるメガネ男子
C 遠い場所から威圧してくる男子