・チャプター2 〜ルートC〜
私は1人だけ距離をとっている男子が気になって、薄暗い体育館の反対側へ駆けた。
近くにいた女子も腕を組んで様子をうかがっていたメガネ男子も、ぎょっとした表情で私を見ていたがそれも気にせず、とりあえずそっぽを向いている彼の背に声をかけた。
「あの……」
とは言ったものの。こういう時、一体何を言っていいか分からず言葉に詰まる。
勢いを失った私に、彼のドスの効いた重低音が返って来た。
「……誰だよお前。近寄んな」
「ぇ? ……いや。その大丈夫かなって思――」「失せろや、女」
「な……」
「日本語も分かんねぇのか? 近寄んなって、ってんだよ。……あ゛ぁ!?」
「……っ」
私の言動に真っ向から食い掛かる彼の態度に、後ずさりする私。
するとそれで気が済んだのか、彼は「もう近寄るなよ……」と私を睨みつけると、またそっぽを向いてしまった。
行動が裏目に出てしまったな、とため息を吐く私。
おそらく怒鳴り声は他の2人にも聞こえているだろうし、これでますます場の空気が悪くなるなぁ……と途方に暮れ、元いた場所へと戻る。
すると私の予想とは反して、2人は苦笑いと失笑を浮かべながら私を迎えてくれた。
同情か、それとも今のやりとりでも不思議と2人の心が打ち解けたのか。
ともかく、この様子ならもう1人ぐらい私から声をかけることも可能だろう。
Q さて、誰に声をかけようか。
A 苦笑いを浮かべている女子
B 失笑を浮かべているメガネ男子
C 誰にも声をかけず、無言のまま元の位置に戻る