幽霊の姉

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2:ナンシー◆YQ:2016/09/19(月) 16:46

…何で私がこんな目にあうんだろう。
私は霧河志保。普通の高校2年生。17歳。この学年、この年齢は、死んだ姉と同じだ。姉は数年前、死んだ。自転車に乗って学校へ向かう途中、信号無視した車と激突。即死だった。その辺には、変わり果てた姉の死体と、飛び出た骨。脳と思われる気持ち悪い物体……。普通、吐いてしまうところだろう。でもその時の私は、目の前のグロテスクな光景より、姉が死んだことにショックを受けていた。
そして数ヵ月前、両親が死んだ。とある銀行に、銀行強盗が押し入った。ピストルを持ったベテラン警備員でも歯が立たず、人質とされた客、スタッフ、そして警備員…全員が死んだ。その中に、両親はいたのだ。姉を引いた車の運転手、銀行強盗の犯人、どちらも逮捕されたが、私は決してあいつらを許さない。


今、私は優しい叔母の家で居候中。その叔母……、もとい、中井幸代は私を引き取ってからというもの、あれこれ私のことを気にかけてくれた。だから、親戚の中で一番好きだ。ちなみに叔母さんは母親の姉。そういえば……私は「叔母さん」っていうけど、姉は「幸代叔母さん」って呼んでたな。母は「お姉ちゃん」で、父が「幸代さん」……。
ポタ…。
もういない家族のことを考えていたら涙が出てきた。毎日こうだ。思い出しては泣く。叔母さんに泣きついて、迷惑かけて……。そうだ、皆のあとを追って私も死のうかな。そうすれば、叔母さんだって、荷が軽くなるし……。あぁ、でも、怖いからやめとこう。第一、私にそんな勇気、ない。

             ー続くー


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