───未練師───
未練師、それはこの世に未練を残してしまった死んだ人間を天界へ導く人間のことを示す。未練を残してしまった人間を導くと言っても彼らもまた、人間。弱い生き物なのだ。
未練師には、ランクというものが存在する。
一番上級のランクが未練師ランクSSS。
そして未練師ランクSS、未練師ランクS、未練師ランクA、未練師ランクB、未練師ランクC、未練師ランクゼロ、{SSS>SS>S>A>B>C>ゼロ>一般人}式にしてみると、こういう事になる。
俺、陽炎とフレアは今日の契約により、一般人から未練師ランクゼロに昇格した。未練師ランクゼロに昇格すると、フレアのような5年〜18年の間しか生きていない幼い魂、若く熟れきっていない魂をパートナーとして同行させることができる。5年〜18年と制限があるのは長く生きているとたくさんの記憶や思い出が脳や心に残っているため、思い出が邪悪化して、地縛霊や悪霊とかするからだ。まだ記憶や思い出の多くない5年〜18年の子供がパートナーとして選ばれる理由はそれだけだ。そして一般人は、魔力をそう多く持たない者たちのことを示す。なかには魔力を多く持っている者もいるが、ほとんどが魔力を持たない者である。その中から有望な未練師として選ばれた者のみが未練師ランクゼロに昇格できる。
「母さん、今日はフレアを契約で解放したよ。」
陽炎の母のお墓にて、手を合わせて報告する陽炎。その横でひどく悲しそうな顔をしたフレアが突っ立っていた。
「私は、フレア。陽炎のお母さん、私は陽炎を守ると誓うわ。私は陽炎のパートナーだもの。」
「母さん、そういうことだから天界で見守っていてよ。じゃあ、また今度ね。」
陽炎は立ち上がり、ふっと息をついた。
「ねえ、陽炎…あの。」
フレアは陽炎の右の服の裾を引く。
「なんだ?」
「陽炎ってなんだか、呼びにくいし一文字とって、陽と書いて陽[ひなた]って呼んでいい…かな?」
そんなフレアの可愛い頼みに陽炎は、少し口元を緩ませた。
「なんだ、そんなことか。あはは、最初に言ったろ?好きに呼べって。」
「陽!改めて、よろしくね!」
これ以上にないほどの明るい笑顔でフレアは陽炎こと陽の名前を呼んだ。