今日の朝、ママに「サンタさんに何をお願いするの?」と聞かれました。アリスは「かわいいお洋服が欲しいわ」と答えました。アリスは嘘をつきました。アリスが欲しいのは、かわいいお洋服なんかではありませんでした。
パパにも同じことを聞かれました。アリスはまた同じように嘘をつきました。アリスの『願いごと』は、パパとママには叶えられないものだったので、パパとママに本当の『願いごと』を教えても意味はないと思っていたのです。
夜になって、アリスはパパとママにおやすみなさいをしました。しかしアリスはずっと目を覚ましていました。アリスの『願いごと』は、サンタクロースに直接お願いしないといけない『願いごと』だったからです。
アリスの部屋には窓が1つだけありました。アリスは窓を開けておくことにしました。窓を閉めていると、サンタクロースが入ってこられないと思っていたからです。
開いた窓のカーテンがゆらゆらして、お月様の光が部屋の中を少しだけ明るくしました。足もとからひんやりした空気がすーっと入ってきます。アリスは身体を震わせて、ベッドに飛び込みました。布団の中でもぞもぞ動くと、すぐに温かくなりました。そして、眠ってしまわないように、窓の外をずっと眺めていました。
しかし、時間が経つにつれて、アリスのまばたきの間隔が長くなっていきました。今にも眠ってしまいそうな様子です。
アリスは七歳の子供です。いつも夜の九時には寝ているので、今日だけ夜更かしをするのは難しかったのでしょう。
そんな時でした。アリスがふと窓の方へ目をやると、大きな影が伸びていました。 アリスは思わず布団を蹴り飛ばします。身体を起こしたアリスは、その大きな影の形や色がだんだん分かってきました。
彼は、赤い服を着て、赤い帽子を被り、白い袋を背負った、白いひげのおじいさんでした。彼は「ふぉ、ふぉ、ふぉ」と笑うと、こう言いました。
「メリークリスマス、アリス」