カゴノナカ

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11:梅っ子:2016/12/14(水) 18:35

>>9

【リーファは考えているこの中でも特にいい子なんです!初めにゴルザとかごつい感じの名前の子もいましたが、女の子なんです(笑)】


(( _ _ ))..zzzZZ


「はあ、今日は特に疲れちゃった…。」
リーファはぐいっと体を反らした。今日は一応全ての仕事が終わり、就寝の前だ。就寝と言っても粗末なカビ臭い布団を一人一枚かぶって寝るだけの質素なものだ。ご主人様も寝たであろう時間にやっと奴隷は眠れる。こそこそとヒソヒソと言葉をかわす。
「やっぱりご主人様が失敗したのは護衛の方々がやられすぎたからかもしれないわね…。」
「…最近お疲れのようだし、なんだかストレスで八つ当たりしてくる感じですし、原因はそのことかもしれないわね。」
リーファはご主人様のことを思い浮かべながら話す。
「うん。そんな感じ。リーファはあれから何もなかった?」
「本当にご飯抜きの刑だけだったわ。」
それはよくあることだし、その場で聞いていたからわかるけれど。
「そうじゃなくってさ。力使わせてしまったでしょう?」
「大丈夫よ。シアーナも知っているでしょう?私は、元々魔力の量は多い方なんだもの!」
「良かった。でも、また何かあっても今度は助けられなさそうなの。」
「あっ、まさか、バレてしまったの?」
リーファはハッとした顔をして目を合わせた。
「バレていた、んだと思うんだ。でも、ご主人様は気づかないふりをしていたんだと思うんだよ。」
「それって、それをすることでご主人様に何か得する何かがあるってこと?でも、奴隷にすごく厳しいご主人様なのに…。」
「うーん…。でも最近少しおかしいわよね。やけに優しくなった気がするわ。」
「もうわからないや。」
ばさっと布団をかぶる。リーファも同じように行動する。今夜はなかなか眠れそうになさそうだ。


梅っ子:2016/12/15(木) 23:07 [返信]


【あ、間違って>>9ってしていた…!正しくは、>>10です(・_・;】


(( _ _ ))..zzzZZ


「シアーナ!起きて!大変なの!」
「…ん。リーファ?どうしたの?」
「ご主人様が…右の手首を自ら切って自殺を図ったようなの!ど、どうしよう。」
他の奴隷はこそこそと耳打ちをしていた。私は五感すべてが優れていて、体の丈夫で強い一族に生まれた。耳打ちの内容は丸聞こえだった。
「…今なら抜け出せるよ…ね?」
「…ご主人様…情けない…から抜け出せるに決まってる。」
とりあえずカゴの中から出たい一心の奴隷が多くいた。カゴの中から出たら、もしご主人様が助かったときに私たちは即死刑だ。大事なご主人様の情報を売っているかもしれないから。
「ねえ、シアーナ?聞いてる?今は、私なんかより優秀なエルフが手当てに当たっているの。でもいつまで魔力が持つか…、多分ご主人様、助からない。私たちせっかく仲良くこんな奴隷でもなれたのに…また奴隷商人が来て、また売りさばかれて…また大事な人と、引き裂かれるの?そんなの…ひどいよっ。」
リーファは泣き始めた。まるで売り買いされる自分よりも、売り買いによって引き裂かれる仲の方が悲しいらしい。私は涙を拭うリーファの両手をとった。
「リーファ。私たちはね、カゴノナカ。ずっと出られない。そう教わってきたよね?」
そう、ずっと教わってきた。
「でも…。」
「リーファ、カゴノナカがさ…もしも地球だったら、もしも宇宙って意味なら…私たちはね自由なんだよ。」
「カゴノナカが宇宙…?」
「宇宙がカゴって事…!その宇宙から出られなくてもいい。でも、こんな小さな世界では息が詰まりそう。ねえ、みんなも聞いてよ!」
ざわついていた奴隷たちが口を閉じる。
「私はシアーナ!よく拷問部屋に行っていたバカ!でも今だけこのバカの言葉を聞いて!カゴノナカからでられないって、私たちずっと言い聞かせられてた!でもそのカゴノナカってどのカゴなんだろう!?私は宇宙がカゴだと思うわ。私は宇宙から出る事はできないと思うし、何よりもこんな息が詰まるところで一生を過ごすなんて…出来ないよ!」
涙が今にも溢れそうだ。でもまだ。まだ早い。もう少しだけ。泣くな。
「シアーナ、十分よ。」
リーファが私の前に立った。
「リーファ…?」
「みんな!シアーナの言うとおりよ!私もカゴはこんなところではないと思うの!きっとみんなもそう思っているはずよ!ご主人様は自殺を図るほど追い詰められていた。私たちも一緒よ!ご主人様の最後を見届けてから出発しましょう。自由な世界へ。」
リーファの言葉を聞いてみんながまたざわつき始めた。悪い意味ではなく、いい意味で。すごく顔が生き生きしていたのだ。みんなの顔が。生きる事。死ぬ事。それは案外近くにあって気づいていないだけなのかもしれない。


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