第1話『噂のペンギン研究会』
「うわーっ!遅れる遅れるっ!!」、私、浅井彩は内心パニックになっていた。え?、なんでパニックかって?それは部活の集合時間がとっくに過ぎているから!今まで1回も遅刻なんてしなかったのにーっ!そんな事を思いながら私は勢い良く部室の扉を開けた。すると中から、「浅井、お前が遅刻なんて珍しいなぁ?明日はもしかして台風かなぁ?」...紹介しよう。この、のほほんとした声は部長、野田清夜だ。年は私の1つ上、高校3年生。「ごめんなさい!眠たすぎて時間を忘れてました!」私が部長に謝るとすぐ横から「彩、遅れる理由、面白すぎだよー!」ああ、この声は中学の初めぐらいから仲良くなった私の親友、上葉萌。「いいじゃん、最近暖かくていい天気だよー」私と萌が世間話を繰り広げていると部長が「じゃ、メンバーも全員揃ったから『ペンギン研究会』、活動スタートしようか?」...今出てきた言葉の数々に読者の貴方は耳を疑っただろう。そう、ここはメンバーはたったの3人、ただ単にペンギン好きが集まる『ペンギン研究会』というヘンテコ部なのだ!...今笑う所なんだけどな...確かに前から周囲からはいままで『ヘンな人』と思われてたかも知れない。若干、いや、絶対そうだ。なんとなく避けられていたから。でも私はそんな事など気にしていなかった。いや、気にしたくなかったのかも知れない。でも中学生の時、私と同じく、ペンギン好きな娘が居た。...それが萌だった。もちろん私と萌はすぐに意気投合した。それがこの『ペンギン研究会』に一緒に入ったわけだった。...過去の話はこれくらいにしよう。で、『ペンギン研究会』は何をするのかって?それはただ単にペンギンの可愛さを語る事!...もう有りすぎて語りきれない!!散々悩んだ結果、私の原稿はこうなった。『ペンギンは可愛いです。うつろな目、あの歩き方、見た目...可愛すぎです!』...凄い短文だな...私はこの短文を読んだ。部員達の反応は....かなり好評だった。「彩のペンギン愛、凄く伝わったよ!!」...らしいよ。まあ、こんな感じで自由だけどこれから宜しく...