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2:ミラ:2016/12/31(土) 07:50

「居場所がない。」
「帰れない。」
「帰りたい。」
「怖い。」
「助けて。」
「誰か。」
「手をとって。」
「連れ出して。」
「ここから。」
銀色の長い髪をゆらゆらと揺らしながらこちらへゆっくり一歩一歩歩みを止めない少女は無関心に言葉を一言ずつ並べた。
「君はさ、誰かが助けに来るとでも思っているのかな?すごいね。そんな英雄がいたら。全く君の無行動な上に消極的すぎるところには全く呆れるな。」
確かに。全く動こうという考えはない。この、鎖に繋がれているわけのわからない状況でも、だ。
「君が居場所がないって言うから、私はこういう行動をとるに至ったのに。無関心にもほどがあるよ。せっかく人が親切にしているのに。」
少女は語り続ける。意味もなく、ふらふら、くるくると歩き続けている。
「はー。疲れた。」
少女は足を止めた。
「君は感謝を知らないの?ありがとうとかさ、言葉があるのだから…」
俺の髪をつかんでうつむきがちな顔を無理やり上げた。目が合う。
「言葉を知っているんだから、何か話したらどうなのかな。」
少女は頭を投げるように手を離した。
「お言葉に甘えて。あなたは誰?」
「やっと話した。あ、質問に答えてあげなくちゃね。私はフレミカ。通り名的なのもあるけど、聞いておく?」
「通り名…?」
「そう、通り名。“残酷無心な花園フレミカ”って呼ばれているんだな。」
少しドヤ顔と自慢が目立つ。
「かっこ、いいですね。」
「君にはわからないでしょ。私名乗ったんだから君も名乗りなよ。」
煽りのうまいやつだ。
「俺は、神狩〈カガリ〉。」
「カガリ…か。君はいかにも仕事にしか熱意や関心意欲を出しそうにない人だね。名前も神を狩る仕事にしか興味がなさそうだ。」
「あんたこそ残酷無心なフレミカなんてさ、まさに何事にも残酷無慈悲なやつみたいだね。」
「ふふ、でも今の状況では君も確かめようがないね。」
「この鎖が俺についていて助けが来ないあたりがすごく残酷なことをしていると思うよ。」
「でも、君は平常心を保っていてその上私をちっとも怖がりもしない。だから大丈夫だ。」
断言された…。まあ気になることはまだ色々あるんだが。


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