蝉が煩い夏の日。
私、愛はぼんやりと外を眺めていた。
「愛!どうしたの!」
私の親友、柚が明るく話しかけてくる。
「私で良かったら、話聞くよ?」
流石、私の親友だわ。待っていた言葉を言ってくれる。
「ねぇ。担任ってウザイよね。」
私は独り言を言うように呟いた。
「なんだ。そんなことか。勿論、ウザイよ。」
「だよね。ねぇ、担任をこのクラスから追い出さない?」
「は?」
私は思ったことを口に出した。
担任。あんな奴なんてこの教室に要らない。
さっさと出ていけばいい。
そのあとは柚とも会話が続かず、ただ二人、ぼんやりと外を見つめていた。