「 やめて…っ! 」
その弱々しい声と、乱暴な複数の足音が同時にこちらへ近付いてきた。一服しようと持参のお菓子を開封仕掛けていた私、立ち止まる。
「 姉ちゃん可愛い顔してるじゃん、俺達と遊ぼうや? 」
「 いや…ですっ! 」
ヌメッとした白い箱(何かはわからないが、空気の出し入れを感じる)に身をひそめ、そっと顔を覗かせる。ネエチャンと呼ばれた方は、女にしては少しハスキーな声だ。しかし震え上がり瞳には涙を溜め、なるほどいかにも弱そうだ。
遊ぼうとする俺達の方は、二、三人の男達。図体がでかく、形相はいかにも悪いという感じ。ちなみに私の好みでは無い。
壁に女が押し付けられ、小さな悲鳴が聞こえる。私とて年頃の女、これから起こることの察しはつく。悪いがそんなものは見たくないし、身の危険を省みてこの女を助ける義理もない。
残念だが場所を変えようと、のろのろと箒へ手を掛けた時だった。
「 今からアンタを征服してやるよォ! 」
……征服?