「ここ、だな」
次の日の午前十時。俺は指定された場所に手紙を持ってやって来た。
…意外に人いるな。俺と同じ手紙を貰った人だろう。
と、目の前の大きなビルを見上げ、中に入る。目的地は六階。
「…エレベーターって何処にあるんだ?」
「あ、迷子ですか? 案内しますよー」
急に現れた少女に俺は飛び上がった。
その少女は茶色の二つ結びの髪と同じ色の目を持つ女の子で、身長は小さく、色も白い…何処か機械的な印象を持った美少女だ。
いや、機械的と言っても彼女に表情はある。現に今、俺に向かって微笑んでいるのだから。
「私、エスって言います。貴方は?」
「俺? えと、アレン・アッカードです」
「わかりました。アレンさんですね。エレベーターはあっちですよ。ついてきてください」
エスと名乗る少女は俺の手を引き案内してくれる。
女の子の手っ…! 小さくて柔らかっ……!? と、童貞丸出しな感想を抱きパニックに陥る俺。
「………着きました。ここがエレベーターです。迷いますよね、こんなに大きかったら…私も一年前は迷ったものです」
「…え、一年前? ということはここで一年前から働いてるんですか? え、コレってドッキリじゃないんですか?」
その言葉にエスさんは唇に人差し指を当てて言った。
「大マジです」