ひよっこですが、小説書きます!

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2:月乃:2017/01/14(土) 12:46

《笑わない蒼い瞳の少女》

1,いにしえの歌

私は、心理カウンセラー兼精神科の医者兼スクールカウンセラー。とにかく、心理学が大好き。もう1つ好きなのがあって、それは古い物。古着や古本は嫌いだけど、歴史や文化が大好き。仕事が休みの日はいつも、歴史民俗史料館などをまわってる。今日は、お休み。だから、「亜咲(あさき)史料館」に行く。亜咲史料館に着くと、そこはとっても古い日本家屋で、見ただけでワクワクして来た。中に入ってみると、日向ぼっこしているおじいさんがいた。おじいさんは私に気づくと、よっこいしょと言いながらこっちに歩いて来た。
「よく来たね、お嬢さん。ここに名前を書いて自由に見てらっしゃい。」
「お金、払わなくて良いんですか?」
「他のところは、金を取るんか?」
「あっはい。高くは無いですけど、一応見学料払って、見てます。」
「そうなんか、、、ここは、タダじゃ。好きなだけ見てらっしゃい。」
「あの、1つ聞いて良いですか?」
「ああ、いいぞ。」
「亜咲って、おじいさんの名前ですか?」
「亜咲は、昔のここの地名だそうじゃ。昔、ここは裕福ほどでは無いが決して暮らしに困ることはなかったそうじゃ。亜咲神社の神様のおかげでな。亜咲村の住民は、いつも笑顔でお人好しでみんな仲が良かったそうじゃ。しかし、日本が戦争に参加するようになり、平和だったはずの暮らしが壊れていった。村の子供は戦争に行く事になり、村人達から笑顔が消えていった。しかし、亜咲神社の神主の子供だけは、戦争に行くことから逃れたそうじゃ。そのことを知った村人達はその子供を拝んだそうじゃ。神主の子供、神様の血を引いているかもしれない。村人達はそう考えたそうじゃ。それを見た亜咲家の子供は、必死にお祈りしたそうじゃ。戦争が終わる事。そして、村の子供達が無事帰ってくる事。毎日必死にお祈りしたそうじゃ。しかし、神様は意地悪でとうとう亜咲村に爆弾が落とされた。村人達は生き残った人もおったそうじゃが、ほぼ全員が亡くなった。亜咲家は、空襲で死んだのか、それとも生き残ってどこかに身を隠しているのかいまだに分からん。生き残った村人達は、すぐに亜咲神社に向かったそうじゃ。神社は焼け落ち跡形もなかったそうじゃ。しかし、1つだけ炎から逃れたものがあったそうじゃ。それは、亜咲家の末っ子が使っていたであろう机だった。その机には、空襲の前日に書いた歌があったそうじゃ。その歌をわしは、いにしえの歌と読んでおる。1番奥にあるから、じっくりと見てらっしゃい。」
おじいさんの話に引き込まれていった私は、そのいにしえの歌を早く読みたかった。神様の血を引いているかもしれない子供が書いた最後の歌。どんなものだろうか。いにしえの歌が展示されているところまでやっと来た。私は小さな声でそのいにしえの歌を呟いた。
「笑わない少女の瞳に宿りし蒼き炎
その炎が燃え尽きる時世界は闇に包まれるであろう
その闇はその少女の心の闇
その闇を追い払う方法は」
「追い払う方法は」で終わってしまった。もし、これが現実に起こりうるとしたら、どうすれば良いだろうか。私は、私なりに必死に考えた。「笑わない少女」ということは、笑うことを忘れた?もしくは、笑うことを押さえつけている?笑わない少女の心の闇を取り除きことが1番の方法かも。「瞳に宿りし蒼き炎」ということは、蒼い目を持つ女の子、という事になる。私は、その女の子に会いたかった。もしいるならば。ちょっと、私に似ているような気がする。私も、一時期笑うことを忘れた事がある。そんな私を笑わせてくれたのが、カウンセラーの先生で、私もあんな人になりたいって思って今の仕事に至る。私は、心外的傷後ストレス障害に陥ったのだ。

ここで切ります。


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