昼休み、私はいつも通り独りで勉強していた。
「また一人で勉強してるよ、清石さん……」
「入学当時からずっとじゃん」
「友達いないんじゃない?」
私を蔑むような目で見る女子生徒がいるけれど、気にしない。
いいんだ、私は勉強していい成績をとっていれば。
私は人一倍勉強してやっと人並みなのだから。
――10分くらい経過しただろうか。
思うように問題が解けず、イライラしてきた。
さっきから色々線引いたりしてるのに何で求められない……?この長さ。
はぁ……気分転換に図書室でも行こう。
図書室は毎日開放されているが、ほとんど誰にも使われない。
利用者はもちろんのこと、司書係もいないのでカードに記入して勝手に本を持ち出して良いという、いい加減な管理の下運営辛うじて運営されている。
貸出者カードには私の名前しか書かれていなかった。
「はぁ、おばあちゃん……私、やっぱり無理みたい。青岬学院」
肌身離さず付けているブレスレットに語りかけながら、ため息をこぼす。
きっと私の助けになるって、おばあちゃんは言ったけれど……
「もう、私には無理なんだよ……いくら努力したって……!」
単語帳作って電車の中で復習して、朝早くから夜遅くまで勉強して、休み時間も独りぼっちで机に向かって。
それでも苦手な単元は潰しきれなくって。
いつも自分が高得点を取っても周囲も高得点で実は大したことなかったり。
勉強を教えあっている人達を見て『自分も相談相手が欲しい』なんて羨ましく思ったり。
「苦しい……苦しいよ」
視界が水彩画のようにぼやけ、目頭がじわっと熱を帯びてくる。
膝にポタポタと生暖かい感触が降ってくる。
私の涙がブレスレットを間断なく濡らしていった。