糸使いと異能マンションの住民たち

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3:ミルト:2017/03/09(木) 22:26

糸乃とスライミーは固まった。さっぱり何が起こっているのか把握できない。争っている面子をよく見ると、悪魔、大蛇、ゴブリン、魔女、騎士に加えて糸乃の親友である人間、林 樹(はやし いつき)までもが参戦している。
(いやいや、これはないでしょ!ってか何してんねん!)
スライミーはとっくに恐怖で水漏れして、糸乃の手に水が溜まっていた。あっけにとられながらも耳を傾けると、物が次々に破壊される音に続いて声が聞き取れる。
「この意気地なし!ヘタレ野郎!」「うぁぁぁ〜!待て待てタンマ!ってちょっとシルヴィア!?」
時の魔女、シルヴィアが涙目で叫びながら悪魔のイルラに向かってイスを投げ飛ばしイルラはイスを魔法でぶち壊す。それを見たシルヴィアは自動販売機を持ち上げて投げ飛ばす。
「グガァ――!」「何っ!?魔法を使えるゴブリンだと!?」
イルラの隣のゴブリンは魔法、特に水魔法を駆使して剣を持つ騎士と戦っている。
「俺はどう考えても悪くないだろ、大蛇!」
そして樹は巨大な大蛇に追いかけられて逃げ回っていた。
・・・・わー、混乱してるね、場が。
糸乃は頭を抱えたくなった。
(修理代かかりそうだし・・・これを養父が知ったら・・・誰かが消滅するわ。)
糸乃の養父も異能持ちなのだ。この中にいる誰にも負けたことがない。
そこまで考えていた時、糸乃は木の破片が物凄いスピードで飛んできたので避けた。が、部屋の壁に穴が開く。
「っていい加減にせい!」
部屋の修理代を考えて一気に頭に血が上った糸乃はついに怒鳴る。
が、その声は自販機が破壊された音に紛れて届かなかった。
だが逆にその大きすぎる破壊音に、その場に居たみんなが動きを止めた。
先程までの騒音が嘘のように静まり返る。その中を、糸乃は進んでいった。
「何をしているのかな?」
にこやかな笑顔で問う。
騒ぎの元凶達は気まずそうに顔を見合わせた。


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