1、我らは共産戦隊セキグンジャー
「我々は、共産戦隊セキグンジャーだ。悪のヤミキン軍団を倒す労働者の味方だぞ。さあ労働者たちよ我々が来たからはもう安心するんだ! 」
謎の格好をした5人組の者たちが突如現れた。
俺は、闇金業者から金を借りるだけ借りて、後で裁判で債務不存在確認訴訟を提起することで借金を踏み倒そうとしたのだが、裁判を提起する前に闇金構成員に捕まっていたところであった。
そこに気持ち悪い5人組がやってきたのである。
「さあヤミキン軍団! お前たちはここで成敗されるのだ」
5人組の1人がそう叫ぶと、一斉に闇金構成員を取り囲み、ゲバ棒でリンチに及んだ。闇金構成員は抵抗も出来ず無残に倒れこむ。
俺は、その隙にここを抜け出し繁華街へ逃げることにした。気持ち悪い5人組のおかげで借金を踏み倒すことが出来て大助かりだ。
※
翌日。
俺は、自宅でテレビを着けると、とある暴力団壊滅のニュースが放送されていた。その名前は『日協組』といい、俺の住む街一体に蔓延る暴力団だったわけだ。
「まさかあの赤色一色の5人組がじゃないだろうな? 」
つい、独り言を漏らしたが、俺が多額の金を借りていた闇金業者も『日協組』系列だったはずだ。その闇金業者の構成員がリンチされて、今日テレビをつけたらその親玉が壊滅したと報じられている。少なくともあの気持ち悪い5人組が関係しているはずだ。
とは言え、もう俺はこの街を去ることにしている。あの気持ち悪い5人組と会うことも無いだろう。