2.スカウト!
「あら、可愛い子発見。あなた名前は何て言うの?」
お姉ちゃん!?
男の人がお姉ちゃんに話しかけている。ナンパ?ナンパ?
ママ、パパ、助けてあげてよっ!
「何の用ですか?」
「わたくしたち、東京のガールズ事務所の者です。これ名刺」
そう言って、わたしたち家族に名刺を配ってくれる。
うん、確かにそうらしいね。
「東京ガールズ事務所では、新しいアイドル、レインボーハッピーをつくっているのであります。それで、このお姉さまをスカウトしたというわけで」
す、スカウト!?
お姉ちゃんすごい!
確かに、お姉ちゃんは可愛いし、綺麗だし、優しいし、穏やかだし。
いいところばっかり。
「すみませんがお断りします。わたしは、アイドルになる気はありません。妹はどうでしょう?藍です」
「そうですかあ。やる気がないなら仕方ない。…妹さんですか?歳は?」
「12歳中1です」
ドクン。
アイドル楽しそうかも。
ピアニストもちょっとは出来そうだしね。
「お姉ちゃんの歳は?」
「16歳高2です」
「お姉ちゃんに、顔は似るのかしら?」
っていうかこの人、男のくせに話し方女なんだけど!
ちょっと気持ちが…。
言わない言わない。
「似ます。母であるわたしが言います」
「よろしい。藍ちゃん、芸能界いいかしら?」
わたしが芸能界にっ!?
「はい、もちろんですっ!」