反三国志演義

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10:すずぬーと様万歳◆8s:2017/07/15(土) 00:08

第三話  怒れる張純

「おのれっ、張温め!公孫讃め!断じて許せぬ。殺してやる殺してやる。熱心な家柄もそこそこの私を差し置いて公孫讃などの田舎者の下朗を抜擢するなんて許せぬぞ!」
張純は幽州からの援軍に抜擢されなかったことを深く恨んでいた。
「こうなったら……。あのバカ野郎に目にもの見せてやる。……張挙と丘力居(きゅうりききょ)と烏桓族(うがんぞく)に密書を送れ。反乱を起こしてやる。張温を殺してやる。公孫讃もな!」
張挙は張純と同郷で友人である。
丘力居は烏桓族で丘力居を引き入れることで烏桓族も引き入れようとしたのだ。
反乱軍は朝廷に不満を持つ漢民族も味方し10万にまで膨れ上がった。その勢いで遼西や北平付近を荒らし回っていた。 
そうすることで公孫讃や張温に圧力をかけたのである。
そのうちに陶謙の守る徐州や公孫讃や他の群雄の守る幽州、これといった勢力のない冀州なども襲うようになった。
もう放っておけなくなったため公孫讃は乱の平定に向かった。
しかし張温に呼び出されたので仕方なく張温たちのいる陣へ向かった。
そこには張温はじめ孫堅などの雄(ゆう)がいたが董卓の姿はなかった
(裏切ったのか?)そんな考えが膨れ上がった。我慢しきれなかった公孫讃はつい
「なぜ董卓将軍は不在なのです?」
と聞いてしまった。場の空気は壊れかけたがすぐさま孫堅が答えた。
「董卓殿は途中で賊に襲われて到着が遅れるらしい。心配はいらん。董卓将軍は勇将だ」
その答えを聞いてほっとした。三つ目の反乱でも起きたら大変だからである。
暫く静寂が陣を襲った

すると震えた声で張温が語りはじめた
「張純めが乱を起こした総勢10万という。すぐに征伐したいがこちらの乱を放っておくわけにもいかん。どうすればよいのだ。天は我らを見捨てたのか……」
言い終わると張温は悔しそうに天を仰いだ。
「それならご心配なく」
自信ありげに孫堅が言う
孫堅は黄巾の乱のときも窮地を何度も何度も脱し少数の兵で大くの賊を破った男で部下も知将、猛将に恵まれており江東の虎の異名を持つ有力な群雄だ。
孫堅は驚く諸将をよそに続けた
「我が軍には知将の程普、猛将の黄蓋と祖茂と韓当がおる。それに我が兵も精鋭揃いだ。命を懸けて戦っていない奴等より我らのほうが上でしょう。ですからわしに……」
「しかし……」
孫堅の言葉を遮るように張温が呟いた。
張温は呟くように続ける
「陶謙殿の徐州が襲われておる。そちらも救わねばならぬ。それなら孫堅殿だけだと厳しいではないか?軍をわけるのは下策ではないのか?」
「そ、それは……」
孫堅も流石に「いきます!」とは言えなかった。
公孫讃は悩んだ。自分はどちらを先に救うべきか。
一人で苦難するうちに一つの答えが見えた
「張温殿、張純は私にお任せください。」 
「しかし公孫讃殿そなたの軍は3000敵は10万、数が違いすぎます。ここまで違うと……」
張温がなよなよっとした声で答えた。
陣中には暗雲がかかっていた。
が、それを照らすように公孫讃が澄んだ声で答えた
「漢民族達は朝廷に文句があるだけで張純を守る気は毛頭ないでしょう。丘力居も何かの思惑があって手を貸しているだけです。本気で向かってくるのは張純と張挙だけです。精鋭揃いの我らなら打ち破れます」
「そうか……そなたの言葉信じるぞ。では公孫讃殿、張純は頼みました。」
張温は息をスウッと吸うと続けた
「皆、我々も陶謙殿の徐州を助け反乱を沈めるのだ!」
「オーーーーー」
陣は光に包まれた。
だが公孫讃の読みは完全に当たってはいなかったのである。
 
補足
呼び寄せたというのは創作です。
しかし各々の不安を表すために作りました。 
董卓のやつこれは黄巾族に負けたことのある董卓というのを強調するためにそうしました。
つまり創作です。 
孫堅は江東の虎と言われていました。
孫策の江東の小覇王の影に隠れがちですがこちらも凄いことです。
孫堅と董卓は話の中でどんどん重要になってきます。
では次回は用語解説をしていきたいと思います。


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