反三国志演義

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13:燕人@猿人ではない◆8s:2017/07/15(土) 23:41

第四話 石門合戦

「では行って参ります」
公孫讃は軽く礼をすると踵を返し陣を出ようとした
「またれよ」 
だがすぐに諸侯が引き留めたのだ
「しかし今は窮地、すぐにでも出陣せねばなりませんぞ」
公孫讃は早く出陣しようとはねのけるが陶謙に引き留められた
「しかし公伯圭(はくけい)殿、そなたの兵は長旅で疲れておろう。士気も低いはずじゃ。士気が低ければいかに相手が烏合の衆であろうとも負けてしまいますぞ。今日は食事をし兵たちをゆっくり眠らせてくだされ。さすれば疲れもとれ士気も上がり賊を討てるでょう。」
伯圭とは公孫讃の字(あざな)である。日本で言う諱と同じだ。本名と別にある名前みたいなものだ。
公孫讃はたしかに、と思った。
「確かにそうでした。この公孫讃反乱が起きたと聞き早っておりました。陶謙殿のお言葉有り難く存じます」
公孫讃は全軍に休むことを命じた。
宴会が開かれ皆心置きなくくつろいだ。
決戦のために。
翌日、ついに出陣の時が来た。
「公伯圭殿、御武運願っております」
陶謙が熱を込めて言った
「公孫讃殿、何かあればすぐに我々が駆けつけますぞ」
と孫堅が自信ありげに言ったが
「孫堅殿、下策と昨日言ったでしょ!覚えといて下さいよ!」
「あ、すまぬ」
すぐに張温が突っ込み陣は笑いで包まれた。
「わが公孫讃軍は逆賊、張純を討ち取って参ります!進めぇー」
公孫讃は陣を出ると全軍を進ませた。
張温たちはそれを笑顔で見送った。

「公孫越が来たぞー」
「こっちは厳綱だぁーー助けてくれぇー」
公孫讃の読みの通り賊軍は烏合の衆でしかなかった。
すぐさま公孫越が槍で3人の兵を吹き飛ばし厳綱が一人の敵兵の喉を貫くとその兵から刀を奪いもう一人の兵の顎に投げ突き刺した。
賊軍の武将も公孫越にあっさり討ち取られた。これはいかんと思った賊軍は公孫讃を討ち取りにいったのだ。
「公孫讃ーわしと勝負せい」賊軍の将軍が懸けてきた。
「この公孫讃、受けてたとう」 
すると相手は槍を大きく振りかぶった。「やぁっ」
だが振りかぶりすぎたため時間がかかり避けられてしまった
すぐにその隙を公孫讃はついた「せやっ!」
がら空きの脇を刀をで切ったのだ「うわぁぁ」
相手は士気を失い逃げ出した。「殺さないで、助けてくれ」
「お前から勝負を挑んだのだろう逃げるな。恥だぞ良いのか?」
「うるさい」
勝負を挑んだのに背を向けるなんてあり得ないと思った公孫讃は躊躇なく背に向けて槍をついた。 ドスッ
槍は敵将の体を貫いた。敵将は短い断末魔をあげて斃れた(たおれた)「打ち取ったぞ!」
敵将の首をあげると賊軍の士気はなくなり滅茶苦茶に逃げ出した。公孫讃はこれを好機とみて一気に追撃した。
だがこれが仇となる。
どれくらい追いかけただろうか。途中で敵の援軍がくるもそれも破った。逃げる敵もわずかだ。だが公孫讃は大変なことに気付いた。
『囲まれている』 ということに。
遼東を解放し沢山の捕虜を手にいれ幾度も張純を打ち破り
長城を落としたものの、深入りしすぎたため囲まれた。敵には烏桓族もいる。思惑があるだけだから士気は低いとみていたがそんなことはなかった。どの軍よりも高い。
突撃しても全滅するかもしれない。ここは耐えるしかない。

どれ程たっただろうか。囲まれてから。
兵は疲れている。もう駄目かもしれない。
そこに公孫讃へとどめをさす知らせが入る。
陣中へいきなり兵が駆け込んできたのだ。
「なんだ、無礼者め」
公孫讃の武将が怒るが公孫讃はそれを諫めた(いさめた)
「何があったのだ?遠慮はいらぬ申してみよ。」
「はっ、公孫讃様、我が軍の兵糧が尽きました!もうもう……戦えませぬ……」
「うっ……そうか。し、仕方あるまい。撤退だ」
公孫讃は部下にやむなく撤退を命じた。
『兵糧が尽きました』
この一言が効いたのだ。
「全軍ーてったぁーい、繰り返す、全軍てったぁーい」
賊軍は状況を読んだのか包囲をときはじめた。
公孫讃軍はそこを通り遼東へ逃げた。
「私の不注意のせいだ」
公孫讃は深入りしたことを深く恥じた。

補足 深入りしてしまったことは事実です。
深入りで失敗する例はこの後も沢山あります。
調子にのってるといけませんね。
今回は撤退ですみましたが
曹操の赤壁の戦い のように
沢山の兵を失うこともあります。


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