【先行投稿】帝國戦史(仮名)

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3:アーリア:2017/07/23(日) 14:05

第1話 出会い



「やあ、アルフレド。あれから一週間だね」

 俺の雇い主が酒場に現れた。その雇い主の名はボリス・バーチャーと言い、マヌンハット伯爵領の領地の一部を預かっている騎士でもある。そして、この青年から頼まれた仕事は、自分の主君であるジョン・マヌンハット伯爵の暗殺である。

「で、今日でしょう? 」
「もちろん今日だよ。ところで、キミの具体的な役目はもう耳に入っているね?」
「ええ。大丈夫です」
「なら、早速準備に取り掛かってくれ」

 ボリスはそれだけ述べて、何も注文せずに酒場を後にした。
 ジョン・マヌンハット伯爵の暗殺作戦はかなり凝っているものだった。まずボリス自身が自分の手勢を率いて街の詰所を襲撃した上で伯爵の館を包囲し、守備兵を引き付けている間に屋敷へ侵入して伯爵を暗殺すると言うものである。
 で、俺の役目はと言うと、デコイ役を主とする。屋敷内に残った守備兵をさらに自分に引き付けるのだ。その間に真の暗殺者が伯爵を殺すと言う段取りである。しかし、万が一にも先任者が暗殺に失敗した時は私が暗殺を完遂することにもなっている。

「1530マネーです」
「はいよ」

 俺も店員に飯の代金を支払って酒場を出た。もしかしたら、これが人生最期の昼飯になるかもしれない。そして、急いで伯爵の屋敷へと向かう。
 屋敷の門の前に着くと俺は、懐から書類を取り出した。これは俺がボリスの家臣だということを証明するもので、ボリス本人のサイン及び捺印がされているものだ。形式上、俺はボリスの家臣と言うことになる。まあ、ボリスの家臣と言う扱いである以上、後になって屋敷を包囲をする段階で、それが誰による仕業なのか判れば俺は拘束されてしまうだろう。

「騎士ボリスの家臣の者である。伯爵閣下にお目通りをお願いできないだろうか」

 俺は、書類を見せながら門番の守備兵にそう告げた。

「ふむ? ボリス殿からの使いの者か・・・・・・確か税の話だったとか聞いている。ではアッシュ、彼を屋敷の談話室までご案内しろ」
「はい」

 屋敷の中へ入ることが許可された。守備兵のアッシュとともに橋を渡って2つ目の門へと向かう。何故橋があるかと言えば、屋敷を囲む堀があり、そこに橋が架かっているわけだ。
 2つ目の門も越えて、屋敷の玄関を入り談話室に着いた。

「ここが談話室です。閣下を呼んできますのでしばらくここでお待ちください」

 アッシュはそう言って、伯爵を呼びに行った。
 少しばかり時間が経つと何やら周囲が騒ぎ出したのであった。


【次レスに続く】


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