2.先生は味方
入学式。
右となりは知らない子、左となりは香織ちゃん。
校長先生の話が終わり、いよいよ先生発表だった。
「1年1組…1年2組…1年3組、花村けいこ先生。1年4組…」
花村けいこ先生、かぁ。
全然知らないなぁ。
見たことも、聞いたこともない。
でも、優しそうな名前。
ここの学校、珠朱藻中学校は、資金がいっぱいで私立並みに規模がある。
道に迷っちゃいそうだよね〜。
そんなことを考えていると、あっという間に入学式が終わった。
教室に帰ると、花村先生が笑った。
「面白そうな子たちね〜」
あ、やっぱり思うよね?
私だけじゃないんだ。
今からは、ちょっと休憩と言うか、みんなとおしゃべりする時間。
みんなと慣れるためにね。
「ねえねえ、香織ちゃん!」
みんなが香織ちゃんのところに集まると、私の後ろがわっと盛り上がる。
特別、私と香織ちゃんが仲良しなわけじゃないから、香織ちゃんが仲良しの子と話していて。
私なんかは、存在感ない感じ。
あわてて席を立つと、花村先生に呼ばれた。
「みんなの中に入らないの?」
「あぁ、入ってみたい気もします、けど。大人数が苦手なので」
あ、入学早々目は着けないでください、お願いします〜!
すると、花村先生の表情が曇った。
「体が弱いのよね。辛くなったら、いつでも言ってください。鬼頭さんも元気でいてほしいから」
わ、私の名前覚えたんだ。
ペコリと花村先生にお辞儀して、席に着く。
お願いします、誰か話しかけて!
「あ、琴ちゃん!」
香織ちゃんが話しかけてくれて、みんながこっちを向く。
花村先生を見ると、強い眼差しでこっちを見ていた。
「は、はーい」
「琴ちゃんも一緒にしゃべろ!」
香織ちゃんが誘ってくれて、クラスのみんなの輪に入る。
キラキラしたカワイイ子ばかりだぁ。