13.私の運命?
花村先生が、私の手を掴んだ。
拍子に、荷物がババッっと落ちる。
「体調のせい?先生ね、鬼頭さんも仲間と一緒に頑張ってほしいの。簡単に退学は出来ません」
琴ちゃん…琴ちゃん。
ヨウタくんって子の声がする。
どうしても、その子に会いたいな。
「鬼頭さん、どうして退学したいの」
花村先生に見つめられて、ドクンと脈打つ。
本当のことは言いたくない。
認めたくないもん。
私が迷惑な人なんだって。
居場所を、消そうとしている人が周りにいっぱいいるって。
だから。
「体が弱いのは仕方ないから、出来ることいっぱいやってみたいから」
「なら、ここの学校で、仲間と出来ますよ。わざわざ退学しなくても」
必死さが伝わる。
認めてくれてる人、花村先生しかいないかもだよ。
先生は、生徒の味方だもんね。
敵になったら捕まるから。
もし、捕まらなかったとしたら。
先生はどうしてるの…?
「とりあえず、寝てください。ゆっくりしてから話しましょう」
電機を消して、私はまた、深い眠りに落ちた。
花畑。
となりにも私に似た女の子。
花の冠を作っているの。
「琴ちゃん、琴ちゃん」
私は後ろを振り向いた。
男の子は、こちらに歩いてくる。
ゆっくりととなりに座って、手を握った。
「ちょっと、俺の話を聞いて」
私はコクンとうなずいた。
ヨウタくんだ、この子。
見覚えがあって、すぐ分かった。
「琴ちゃんはね、すごく悲しい運命を辿ることとなる。そんな中で、キミは恋するんだ。でも忘れないでほしい。キミの恋は絶対消えるから。まるで、ケムリのように。キミは炎だよ」
えっ?
ヨウタくんは立ち上がって、となりの女の子のところに座った。
これは私の物語?
だとしたら、私は恋するの?
いや、ウソだよ…。
「はっ」
「鬼頭さん!?」
外は眩しい太陽。
登校している子の声も聞こえる。
私、一夜過ごしたんだ。
花村先生の目の下はクマが!
「すみません、先生!」
「いいのよ。それより、今はどう?」
花村先生がおでこに手を当てる。
ちょっとホッっとしたような顔を見せて、ご飯を差し出した。
「鬼頭さんのお母さんが持ってきてくれたパン。妹さんが、高熱でお迎えに来れなかったそうよ」
高熱っ!?
莉乃かな、莉桜かなっ?
私なんかほっといて、治してっ!
「ごめんなさいってすごく謝ってたわ。伝えてくださいって」
「いいんです」
私は、平静さを装って笑った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
名前変えました。