1.初めてだらけ
桜がチラチラ散り始める頃。
新しい新品の制服を着た、同じ1年生の中。
お母さんとお父さんと並んで歩く。
すると、小学校の頃同じ学校だった子が受け付けをしていた。
わぁー、大人っぽい。
私も、あんな風になれるのかな。
「じゃあ、お母さん、お父さん、行ってくるね!」
私は、制服をなびかせ、スクールバッグを片手に受け付けに走った。
「名前教えてください」
3年生に言われて、ドキンとする。
大人っぽくて、憧れる制服を着こなす先輩たち。
「鬼頭琴です」
先輩がチェックを入れて、教室まで案内してくれる。
ドキドキ。
私の名前は鬼頭琴。
鬼の頭って書くけど、みんな全然恐くないって言うよ。
優しくていい子って言ってくれる。
人見知りがちょっとあって、困ってるんだけどね。
「ここです」
着いたところは、1年3組。
よーし、頑張るぞっ!
私の席に座ると、後ろの子が肩を叩いてきた。
この子は、小学校から同じの、香織ちゃん。
「みんな静かだね」
うん。
私、あんまりこういう空気苦手だから大変かも。
ちょっと静かすぎると、緊張しちゃうっていうか。
「みんな緊張しちゃってるのかな」
香織ちゃんとうなずきあっていると、斜め前の席の男の子がおしゃべりしてる。
ずいぶんにぎやかなクラスになる、予感がするのは…私だけっ?
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『夢の中のキミとvol.1』