私があまりにも考え込んでいたのだろう。
あこちゃんは説明してくれた。
「とわこって、丁寧で礼儀正しいなぁって思ったの。親しくない人―――いよかやアタシに、最初敬語で話したり、さん付けで呼んだりしたでしょ。だから、そういう性格を見たいよかは、ああやってとわこと仲良くしようとしたのかなぁ、って」
あこちゃんの言った私の性格は、ほとんど間違っていない。
でも、すいかちゃんが私を利用しようとしたのはなぜかが分からない。
「えっ、と……」
なんと言えばいいか迷っていると、あこちゃんはもう一度口を開いた。
「いよかは、クラスみんなと仲良くなりたい、みたいなこと言ってたよね」
「うん、言ってた」
「なら、他の人に話しかけに行っててもいいんじゃない?クラス全員と仲良くしたいなら、もっといろいろな人と話すだろうし」
「たしかに……」
すいかちゃんはあの後、すぐに席に戻ってしまった。
授業が始まるから、という理由もあったと思うけれど、その後も沢山の子と話している感じではなかった。
どちらかと言うと、目立つ女の子達で固まって騒いでいるといあ感じで…。
じゃあ、私に話しかけてくれたのは……。
「他の子とは、もう仲が良かったんじゃないのかな。あるいは、明日話してみるとか……」
私の説明も、かなり有り得ると思う。
でも、妙に説得力がなかった。
「さあね。まぁ、とわこがいいならそれでいいよ。余計なこと話しちゃったね」
もう忘れて、と言ったあこちゃんも、少し困ったような顔をしていた。
「家、こっちだから、じゃあね。また明日」
そして、角を曲がって行ってしまう。
「あ、…」
バイバイ。言おうとしたけれど、私が音を発する前に、あこちゃんがひょいっと顔を覗かせた。
「とわこの人を信じれるとこ、凄く良いと思う。じゃね、また」
誉められた……?
誉められた―――
小さく「バイバイ」と呟くと、気持ちが高ぶっていくのが分かった。
心が晴れてくる、そんな感じ。
凄く良いと思う。人を信じれるとこ、凄く良いと思う――――
嬉しい。
道端の緑がはっきりと見えた。
土筆(つくし)が沢山伸びている。
登校するときには気が付かなかった。
軽くなった頭を上げ、暖かくなった季節を見た。
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トリップ変えました。
これからはこれでいきます。