第0話
プロローグ
東京月島。もんじゃ焼きで有名なこのまちの一もんじゃ焼き店舗でこの界隈では最強のもんじゃ焼きのカリスマと呼ばれる
同じ部署だった、相上さんと今まさにもんじゃ焼きを食べている。じゅ〜〜と。いい音がしているが何回もんじゃ焼きを
焼いてもこの危なっかしい作業には馴れない。
「相上さ〜ん。焼いてくださいよ。」
「いいや、地方言ったら焼き方忘れるかもしんないだろ。覚えるためにもほら。」
と笑って誤魔化す。
「ちょっとダメダメ。もう少しこっちをこうして.....」
結局気に入らなければ自分でやるのだ。
そんなほのぼのしいヒトコマは置いておき、今この相上さんと地方へ送られるお祝いという
とてもとても冗談ではなく皮肉な事をしている最中だった。
私と相上さんは法魔省本部で同じ事務経理担当部で書類を書いて一日が終わるということを正に就職してから
5年も共にやってきたいわば戦友である。一部過激な部署では法魔の使用違反や悪用などの取り締まりをやって
命が関わる沙汰になる部署もあるのでそこよりはましさ。と言うわけだ。だが、そんな日常はつかの間
今になっては地方に転勤である。相上は羨ましそうだが、私はそうでもない。
地方での仕事は少し今よりハードになる。具体的には地方の法魔ができる少年少女の教育現場に配属され
その後そこで頑張れという訳だ。そもそも法魔省自体意外にも過疎状態が進んでいて人員不足が
深刻である。本当はもっと実践的な仕事をしている部署から配属なのだが今回は事務経理担当部から
運悪く配属になった私の運命を呪っても呪い切れない。
月島の夜の街には街灯が行儀よく並び、ずっと道を照らしている。
この美味しいもんじゃ焼きの匂い漂う街にもう滅多にこれないと思うと
寂しくなるものだ。